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  (左から… ホアヒン遠景、ビーチ、タキアップの黄金仏陀立像、ジェラシックパーク?実は近所の爬虫類館 、バリのガラススタジオで, )

 私は1994年にインドネシアのバリ島にガラススタジオを作る為に1ヶ月滞在しました。その時、何とも云えないやすらぎを体感しました。それ以来アジアの魅力にとりつかれてしまいました。日本にいては感じることの出来ない時の流れ、空間…、それに物価の安さを考えると云う事なしです。沈み行く国「じゃぱん」に対する漠然とした不安もあります。支給される基礎年金では死ぬまで働くしかありません。そんなんで、アジア、なかでも仕事の縁でタイに住む事になりました。
 準備には3年程かかりました。まずは仕事量の調整です。ガラススタジオを経営していますが、規模が大きくなりすぎて、時代の需要にマッチしなくなってきたこともあり、計画を立てて会社の「規模縮小」と将来を見据えて「事業の海外移転」をしました。それと20年以上この分野のトップランナーをやってきて疲れやストレスも溜まっていたのもあって生き抜くために少し息抜きも必要でした。このような体制をつくって日本の仕事を調整しながらタイへの仕事の移転を行ないました。
 タイを選んだのは、仕事の縁がきっかけですが、将来の本格リタイアを考えて、他のアジアの国と比較してリタイアメントビザが取得し易い事が一番です。例えば、インドネシアではドルで月1500$以上の収入と高額な住宅を購入するか貸借しなくてはなりません。就労ビザもかなり年数がかかり困難です。マレーシアも同様で、450万円以上の預金と1年後に住宅を購入する条件がつきます。日本人の多いペナン島は、スーパーに日本物も豊富で価格も安いですが、朝夕もコーランの大音響にはなじめませんでした。シンガポールは物価の高さと水問題、フィリピンは治安と台風が怖いので却下しました。
 タイは80万バーツ(240万円)の預金証明があれば容易にリタイアメントビザが取れます。住宅取得はコンドミニアムなら出来ますが、土地付き家屋は出来ません。但し、会社名義では可能です。タイでは会社設立は、最近の日本と同様に預金証明無しで設立できます。弁護士事務所を通して、タイ人名義株を60%にして会社登記し、その会社名義で購入取得します。私の場合は事業などをして就労するのでワークパミット(労働許可)が必要でした。これは結構面倒な手続きでした。
 ちなみに、会社の設立経費や更新経費は別にして、ワークパミットが取れる事業実体のある会社の場合月1万5千バーツ位、ペーパーカンパニーの場合は税金だけで年2万バーツ位、会社維持に最低かかります。長期滞在ガイド本にもこのような方法が紹介されていましたが、経費については記されていませんでした。事業や永住や長期滞在なら住宅取得や就労を考慮しなければなりませんので、この金額を参考にして下さい。

 生活費も、物価がとても安いので助かります。ちなみに、1バーツ=3円として、スイカ半切60円、玉子1個6円、カップヌードル36円、菓子パン15円、缶ジュース30円、缶ビール84円(ちなみに現地生産スーパードライ350ml缶で110円)、1L低脂肪乳96円(乳製品は全て高い)、1L水9円‥‥ですから、1人1日約500円以内ですみます。日本では、かなり節約した質素な生活をしない限りこの水準にはなりません。
 住まいはピンキリです。首都バンコクの都心だと外人向けマンションで月10万円以上と東京並みになりますが、都心から少しはづれるとかなり安くなります。私が住んでいた、地方のリゾート地ホアヒンでは、月3万円位でタウンハウスが借りられます。駅から徒歩5分、2階建て約46坪、TV、冷蔵庫、電話、エアコン、ベッド、寝具、ソファーなど付いてです。
 おおよそ、食費が3万円前後、ガソリン代・光熱費等をふくめた雑費3万円、これに借家代3万円を入れてトータル月10万円以内で夫婦で普通の日本水準の中流程度の生活が十分できます。私は330坪の土地を100万バーツで購入し住宅を2棟100万バーツで新築したので月2万バーツ(約6万円)位で生活してます。週3日の大学講師の収入は2人で月2万バーツなので持ち出しは殆んどありません。よく、リタイアしている方を紹介している本が出版され、月15〜20万円とかお金がかかるように紹介されていますが、普通に暮らすのならそんなにかかりません。たぶんにメイドを雇ったり住居費や娯楽・遊興費にかかっているのでしょう。
毎日利用OKの高級ホテルのスポーツジムがプール使用料含めて月会費3000円(日本の新聞も読めます)、ゴルフ場も平均3000円です。それでも安いです。

 一見、安上がりのように書いてしまったが、少し説明不足だったかも。確かに月10万円以内で生活できるが観光旅行などはできません。また日本への帰国費用やビザ更新手数料も含まれません。これらを入れて平均すればプラス2万円以上は増えます。私の場合事業をしてるので土地付き一戸建てが所有できますが、会社維持経費として税金だけで月1万5千バーツ位(約5万円)実際は社会保険料なども別にかかります。不動産所有だけのペーパーカンパニーでも年2万バーツプラス手数料、月にすれば1万円位の支出になります。タイでの夫婦2人の年金難民リタイア生活費は、日常生活費約6万円プラス住居費、帰国費用やビザ更新手数料、観光旅行費ということになりますが、意外とかかります。

(左から、パックジュース24円、缶ジュース30円、コーラ36円、缶ビール84円、1L牛乳96円、1L天然水9円、スイカ半切60円、カップヌードル36円、菓子パン15円、カオパ弁当(タイ風炒飯)75円。大好物カオニャオ(タイのもち米)。ミーコロム(あんかけ焼きそば)、トヨタカローラー14年落ち中古車日本製輸入車45万円…日本の二倍の価格。講師をしてる大学での授業風景.借りていたタウンハウス)

 移住してみて良かったのは精神のリフレッシュです。朝から掃除したり散歩したりしてまったりとすごし、昼にはビールを氷割り(タイのビールの飲み方は味が濃いので氷を入れてギンギンに冷やす)で飲みながらランチして昼寝し、夕方涼しくなったらナイトマーケットに買出しに出かけたり屋台で食事をしたりして、夜はテレビを観てゆっくりすごす毎日の繰り返しです。日本の情報は衛星テレビのNHKプレミアムだけ。たまに大事件があった時に衛星版の日本の新聞を買うだけで、日本の害あるマスメディアに洗脳されないですみます。日本のあらゆる出来事が他人事にしかとらえなくて、政治や社会や人間からの憤りなど余分な外部からのストレスに翻弄されることもなく精神の心地よい調和が保たれることです。海外生活の一番の利点はこれかもしれません。時間に余裕がでてきてからは地元の大学で講師もやりました。タイ語の勉強にもなるし英語も必要なので一石二鳥です。私の場合は仕事とうまくバランスがとれていたので良かったと思います。

 タイ人の多くは仏教を信じています。挨拶には手のひらを合わせ合掌(ワイ)します。どこでもそうですが悪い人も良い人もいます。どちらかというと皆親切です。むしろ気安さと付き合いが濃密な分だけ日本人の方を警戒すべきかも知れません。平気で詐欺や横領をしている日本人も多く見かけます。

 タイでは、国王が最も偉い方です。貧しい人にもいろいろな施策をしているので国民の信頼はとても厚いです。しかし、戦前の日本のように「不敬罪」があります。侮辱してはいけません。知らずか日本語フリーペーパーに侮辱する文章を載せ投獄されている日本人が複数いると聞きます。釈放嘆願署名を依頼されたこともありましたが断りました。こちらもブラックリストに載るの必至ですから‥。

 「マンペンライ」‥どういたしまして、平気、大丈夫とかの意味ですが、万事気にしない、という雰囲気がなんにでもあります。いい加減かも知れませんが、これがとても居心地がいいです。でも、何か大事な事を頼んでこうだったりすると日本人の感性では不満が残ったりします。

 タイ人の一般的所得は月1万バーツ(3万円)位です。都市部のキャリア系で3〜5倍です。物価が日本の3〜5分の1ですから、結構、裕福に見受けられます。日本と同様、地方にも大きなショッピングモールがありますし、いっも客で一杯です。食事は基本的に外食で自炊は殆どしません。その方が安くつきます。女性の地位も高いこともあります。女性は殆ど働いてます。役所の偉い上司は女性が多数です。男はあまり働きません。でも気遣いがあり優しいです。そう云うわけか「おネエ★MANS」は多いです。性転換手術の先進国だけあって、1年後に会ったら男から女になっていた知り合いもいました。

 タイというと日本では性風俗が多い先入観がありますが、やはり否定はできません。バンコクなどはすごく多いし、何てったって仰天なのは、アパートに×××サービス付きのメイドがいたり、女性オーナーが私も込みョと云う事もあったりします。これ目的の方には天国かも知れません。女性はきれいだしスレンダーです。彼女達の名誉の為に書きますが、あるレポートによると成人未満の処女率は80%位!だとか?日本と逆ですね。
 タイ人の性に対する意識は日本と違い隠微な考え方が無いように思う。日本や韓国のように儒教の影響が強い国と違い仏教のもつ寛容さからくるのかもしれない。日本や欧米のように表向き性モラルにうるさいのに実態はアンモラルなのに比べタイはおおらかであるように思えます。

 街中はいつもきれいに清掃されています。あちらこちらにダストポットが置いてありますし、ポイ捨ては禁止されています。旅行する方は気をつけて下さい。ちなみにタバコも指定された所以外はどこでも全て禁煙です。タイ北部や映画「ビーチ」にもでてきましたが、麻薬は手に入り易いですが見つかれば違法行為ですから投獄されます。拘置所も刑務所も劣悪と聞きますから地獄行きです。
 
 よく外国では医療費が高いといいますが、タイではタクシン前首相の政策で国民は僅かな自己負担しかありません。無保険の外国人である私が虫歯を抜いてもらっても全額負担で3000円ちょっとでした。それも抜歯した痕を縫合してくれます。日本ではそのままですし細菌感染で具合が悪くなったこともありました。再診でも300円位です。腰痛の時もレントゲン・牽引・投薬・温熱療法とか受けても5000円位でした。日本での自己負担3割分と殆どかわりません。薬も良く効きますし設備もサービスも日本以上と言っても過言でないでしょう。難病や持病を患っていないなら、日本の住民票を抜いて健康保険料をゼロにするのも一計です。5年以上もリタイアしてタイに住んでる友人も持病があってもこの方が安くつくと言ってました。

 タイ米はとても美味しいです。昔の米不足の時の緊急輸入の印象が残ってるでしょうが、あれはまずい肥料用だったらしいです。北部では日本米も作られていますし売ってます.カオニャオという餅米ご飯は大好きです。不思議といくら食べても胃がもたれません。しかしこのタイ米など農作物の日本への輸入はFTA(自由貿易交渉)が進展しないので高い関税が課されたままです。タイでは自動車は一部国内生産されている機種を除き中古車も含め日本の倍近くの価格で高額です。しかし朗報というか、この思いが通じたのか、07.5/4に日本とASEANの閣僚会議で10年以内に9割の関税撤廃に合意したと決まりました。これでタイ人が輸入自動車を、日本人が美味しい農作物をお互いに安く買えるようになります。勿論東南アジアのデトロイトであるタイでは現地生産車は日本とほぼ同価格です。しかし異常気象やバイオ燃料需要などからアジアを中心に米不足で騒動が起きているという。タイでも店頭から米が激減し30%以上値上がりしている(それでも5kg100バーツ340円位だからとても安い!日本で一番安い5kg1600円と比べてもとても美味しい。)。そしてついにタイ米の輸出制限を決めたと報じられた。これから作られている日本の米酢や焼酎が値上がりするだろう。遅きに失したという感は否めない。「飽食の時代」は終わったのです。

 今、アジアは激動しています。ヨーロッパのユーロのように東南アジアを一つの経済共同体にする動きがあります。日本は我儘すぎて除外されそうです。近い将来、中国がリーダーになることは否定できません。アジアの国では一般人の多くが英語を話せます。日本の学校ではPCを教えるよりも最低でも実用英語を教えるべきだと思います。そうしないと世界に遅れをとること間違いなしと危惧します。やっと08年から小学5年生から英語が必修になったとか…これで何とか良くなることを期待します。
 
 最近(07〜08年)の日本で起きている、年金問題、高齢者医療費負担増、異常な物価高を見ていると、外国でのリタイア生活がとても安心で経済的と思いつつも、もし年金が崩壊すれば国が滅びることになり、そうなるとリタイアメントの経済的基盤も無くなるわけで、それを考えると白昼夢をみているような感覚になったりします。この不安感はいつになったら解決するのでしょうか?…。タイに住んで遠くから日本を見ていると、日本は途上国じゃないかと思うことが多々あります。世界第二位の経済大国と言われたバブル期を頂点に生活格差は拡大し生活レベルも社会保障も後退を感じても進歩は感じません。二流国へ転落しつつあるのが実感です(追記;先日の新聞を見て驚いた。今や日本はOECD先進国30カ国中19位に転落して来年は25位と最下位グループになるというらしい!もう絶望に近い…)。…それでも楽観的にみて、多分あと二十数年位は日本は崩壊しないだろと根拠の無い予測をしてるけど…されど間違いなく没落すると確信しているのは私だけー!?。
 全ての事象には栄枯盛衰というサイクルがあるとするならば、敗戦の焦土から世界の経済大国になった日本の50年余りの時代は、人生50年如きの一区切りであり、今一つの時代の終局の始まりにあると云えるのかも知れません。
 こんな思いで今は不確定な未来しか見えないのだけれど、それでも外国へのリタイアは当面は有効だと思います。最悪でもいきなり難民にならなくていいメリットはあると思います。


(左からワットプラケオ寺院、同寺院の狛犬みたいな置物、黄金の涅槃仏、サムイ島ビーチイメージ)

(追記)
 08年8月にバンコクで日本人が殺されたと報道された。棚橋さんという若者だそうだが何か名前に記憶がある。バンコクの大学本校に行った時に会っているかもしれない。ホームページも見た事がある。彼は為替トレーダーでという本も著しているそうだ。この「外こもり」は私も同感である。多くは日本の現実や将来に絶望したり悲観的な若者が自宅に引き篭もるのではなく海外に篭りぶらぶら暮らすのが定義だそうだが、そうでなくても例えば日本で数ヶ月まじめに働いて少しお金を貯めたらそれでまた数ヶ月物価の安い国で暮らす…これも「外こもり」であろうし、とても合理的な生き方だと思う。私もタイに居る時にバックパッカーの若者に会った時はこういう生き方を勧めていた。タイでなら彼が書いているように月3万円で暮らせるのである。日本でネットカフェ難民になるよりも目的も無く安定した仕事も無く安い給料で彼女無しの惨めなギリギリの生活をおくるよりもメリハリつけた生活のほうがよりましである。こうして自己をとり戻せば自ずと人生が見えてくる筈である。ほとんどお水系に変貌してしまった日本の女の子に翻弄されるより割り切ってXXXXXをするのも健全だと思う。そしたらいずれ煩悩も消えると思います。彼の実生活は分からないが、もしかってお会いした方なら哀悼を表したい。(2009/3/7加字訂正)

 「年金難民」という新語がある。少ない年金では国内で暮らせないので物価の安い国に移住する人の事をいう。まさしく私もその1人?であろう。そしてその人たちが移住先でトラブルを起こしているという。確かになかには祖雑な人も見かける。詐欺に遭いそうになったり、たかられたり迷惑をかけられ嫌になった事もある。このような事が頻発すれば何れ現地で社会問題化するであろうと予測できる。しかし、日本の政策の貧困の結果であって現状のままでは生きる為の止むを得ない選択の一つであると思う。このテーマを特集した11/19の「水曜ノンフェクション」が元厚生次官襲撃事件のあおりで放映されなかったのが残念でならない。※09/1/28に放送された。実に切実で良い内容であった。私も生きていく生活費としては日本国内では月15万円が最低必要で何とか収入を確保して生きているのが実態で支給年金6万円では完全に不足なのは明確です。知り合いに生活保護者がいるが月15万円支給されていると云う。これをうらやむ気持ちは無い。憲法では「国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とある。これさえ守られていない現実こそ憂慮すべきだと思う。やはり「年金難民」と云う選択しかないと確信した。番組中にチエンマイにロングスティしている夫婦が紹介されていたが、1部屋を借り(家賃約2万円は相場より高い)、言葉が出来ないから部屋に篭って洗面所で自炊していたが、ああいう人は実際いるが多分長続きしないと思う。「郷に入らずんば郷に従え」でなければ上手くいかないと思う。それにしても、ある89歳の高齢者の「敗戦前の暮らしよりも貧しい」という言葉には目頭が熱くなるとともに、やり場の無い怒りを感じた。若者は元が取れないから払わないと言う。コメンテーターが言うように年金改革には10年以上かかるというが、これまでがそうであったようにアメリカの救済の為にアメリカ国債を強制的に買わされることは確実であり、それが紙くずになるのも明白であるなならば、これから始まる失われた10年に更に10年加わり20年かかった後に世代間の合意がなされるだろうか?多分時遅しであろう。年金制度の崩壊は国家の崩壊でもある。「100年安心年金!」を自画自賛している政治家は現実を認めようとしない。不幸の連鎖は断ち切らなければならない。(2009/1/31加字訂正)

(追記)
 最近「年金改革」が議論されている。受給開始年齢の70歳への引き上げとか減額とか、前政権の「100年安心年金」はなんだったのであろうか?私は既に年金受給しているが今後の年金生活の資金計画も狂ってくる。「マンペイライ」「なんくるないさー」と気にしないでいくしかないと考えたあげく開き直ることにした。ギリシャ人みたいに誰かがどこかの国が助けてくれるだろう…と他力本願に構えるしか先に希望が持てない。かって私の助手達が「もらえない年金は払ってもしょうがない。暮らせなくなったら生活保護で国にみてもらう」と言っていたが、大阪の生活保護の支給率の実態を聞くとにわかに現実味をおびてきた。国が助けてくれる筈がないと批判していたがもうできない。これほどまで深刻であるならば、あと20年前後には日本は崩壊するかもしれない。前にも書いたが、円安の時は海外での年金難民生活が苦しくなり、円高の時は余裕ができて白昼夢をみているような浮いた心境になったが、日本が将来ギリシャのような事態になったら半端な円安ではないであろうから、年金難民生活すらなりたたなくなるかもしれない(ちなみに在タイ時の為替レートは1バーツ最大2,5円、最小3,8円。つまり平均レート3,0円の100,000円が83,000円〜126,000円に変動する事。円高の今はいいが日本が没落して円安になれば日本での生活のほうが楽になるということ)。やはり究極は田舎での自給自足生活しかないのかもしれないと考えるようになってきた。首都直下型地震が4年以内に70%発生確率の話を聞くと今のタイと日本のセミ二重移住生活がベストだとも考えが逡巡してしまう。いつでも「海外疎開」できるのが心強く思う。2012年から2013年にかけての円高から急速な円安は海外で暮らす年金生活者にとっては大打撃だ。政権の再交代によってバブルの再現とか景気回復とかいわれているが1ドル130円超えたらほとんどメリットはなくなり今の生活も終焉を迎えているかもしれない。円安の恐怖で震えそうだ。
(2011/11/3追記、2013/1/11加字訂正)

 未曾有の経済危機の中、雇用を守る施策としてワークシェアリングが議論検討されているが、タイでは昔からそうであった。どこのお店に行っても過剰な位にたくさんの店員さんがいる。これは仕事をみんなで分け合っているのだと思うが、悪く云えば個々のアビリティやモチベーションが低いからだと云う意見もある。もちろん個々の給料も低くなるのだが、それでも生活していけるのは将来に不安を持たなくてすむ安心感と日々の生活レベルに対する満足感が日本と違うからだと思う。過剰な金銭欲や物質欲を持たず、貧しくともみんなで仲良く生きていこうする人間の優しさや豊かさがあるのだろうと思う。私の会社も2ヶ所から1ヶ所に縮小統合する時に過剰人員になり解雇するのも忍びなくワークシェアリングをしようとしたことがあったが、給料が下がると猛抵抗にあって頓挫したことがあった。結果、零細企業の宿命で採算が悪化したのは云うまでもない。ミーイズムに凝り固まった正社員のエゴがある限りワークシェアリングは出来ないと思う。(2009/1/20加字訂正)

 ご存知のようにタイでは1年以上前から政府側(黄シャツ派)とタクシン元首相派(赤シャツ派)との対立が激化しており、なかなか様子を見に戻ることが出来なくなっている。前にも紹介したようにタクシン元首相は貧困層に対しては医療費を無料化したり路上マーケットなどの規制をゆるくしたりと一般国民の支持は強く友人にもシンパは沢山いる。一方弁護士さんら行政側の人やインテリ層の友人は政府側の民主党支持者が多い。タクシン元首相は側近に利権をばらまいて不正を行っていたのは事実だし、外国人が政争に口出しする事はできないしコメントするのも危険だ。場合によっては拘束されかれない。しかし私も含め今多くのタイ在住の日本人はタイをアジアビジネスの中心に置く事を再検討しているようでもある。そうならないうち和解してほしいと願うばかりだ。住むのにはとてもいい国だからだ。(2010/6/1加字訂正)

 昨日放送のNHK「灼熱するアジア-タイ」では、FTA(自由貿易交渉)により関税ゼロになったタイにアジアから工場が集中してきている様子をリポートしていた。日本企業は「脱日入亜」の下に工場を移転させ、中国の企業さえも同じであった。中国企業のインタビューには翻訳字幕とタイ語があってなかったのが気がかりだったが、それでも中国では人件費が安くても関税がかかればタイで生産したほうがコストが安くつくと言う趣旨では直訳ではないが正しいのだろう。世界第二の経済大国になり世界の工場となった中国に全てが収斂していくきらいがあるが、政策次第で生産の流れお金の流れが変わることを痛感した。タイの内部対立も沈静化してきたので、今真剣に今後のことを考えてます。いずれにしろタイの工房があるホアヒンを拠点にするのはこれまでの活動を顧みてハンディがあることから首都バンコクに移転することにした。様々な要因により活動を中断されてしまったが、もう一度再考する時期がきたように思う。
(2010/8/23) 
 <追記>TPPといいFTAといい日本周辺の動きが増している。国内では、農・漁業を中心に反対の声が強いが、10/8号週刊ダイヤモンド誌の特集「日本の漁業が危ない」を読むと驚くことが書かれている。いわく、日本は世界4位の漁業大国であるのに、漁業者の所得は世界平均の4分の1しかない。理由は中間仲買者が多くて市場価格の25%しか儲けがないのと漁船の規模が小さく漁獲量も漁業者1人当り他国の2割位しかない。加えて96%が個人経営だそうである。要は収穫者と小売までの中間搾取が多すぎるのである。世界の常識では漁業は大規模企業化され儲かる商売だと云われているのだから真逆の実体の後進性は明らかである。農業もしかりかと思う。数年前に埼玉で農業法人のアルバイトをしたことがあったが、そこは耕作放棄地を借り上げたり耕作代行をしたりと大規模化しており儲かるといっていた。地元農家もブランド米を生産して頑張っている。共通しているのは小規模個人経営がネックになっていることだ。拡大するグローバル化とブロック経済圏への移行の時代潮流を見据え議論は十分するべきだが韓国のように思い切った転換が必要ではないかと思う。この雑誌では「海外疎開」の特集も組まれていて、知人の「海外移住情報」の安田さんも寄稿している。彼は今沖縄に移住して活動していると先日の電話で話していた。
(2011/10/13追記)

 日本での諸雑事のためタイの活動が中断し、やっと片付いたものの資金的に困難で事業再開は断念し、心機一転の気持ちで沖縄に移住し,落ち着いたところに前に働いていたタイの大学から講師の依頼がきた。あれこれ悩んだ結果、やはりタイが一番あっているなと思い戻ることにしたが、運が良いときは重なるもので、本業の仕事も忙しく行ったり来たりの生活となりセミリタイヤならぬセミ二重移住生活となってしまったが、正直居心地の良いものを感じるのでしばらくこのスタイルでいこうと思う。タイの政局も安定してきており、ホアヒンの家も売れたのでバンコクに仮り住いしていろいろ迷いながら今後を模索しています。
(2011/10/13加字訂正)
 行ったり来たりのタイ〜日本往復の暮らしだが、やはりこのスタイルがベストだと思う。大学講師の仕事は妻に任せ、私は日本で仕事があれば戻って働き収入を得る。その収入と蓄えと僅かの年金でタイで日本より少ない生活費支出で暮らすのが私流の「外こもり」スタイルである。日本人が多く住むスクンビットやBTS周辺でも10万円も出せば一軒家が借りられることが今回わかったので、また会社の仕事を再開しようかと随分と迷ったが、やればやったで支出も大きいし、この時代に商売でどれ程の収益があげられるか不透明なので断念することにした。タイでリタイア生活している友人の、「50過ぎたら仕事にお金注ぎ込んじゃダメだよ!」の一言が効いた。私には私にしか出来ない特殊な仕事<需要も利益も少ないが確実に専門家が支持してくれる仕事>があるのだから欲をだしてはいけないと自戒した。
(2012/6/15加字)

 タイに工房を建て二重移住生活を始めてから10年経って、いろいろ将来の事などを考えて悩み逡巡していたので、しばらく加筆してこなかった。この数年はタイの仕事も低迷し会社の維持コストが負担になっていた。日本の未来も不透明だが、それと連動してタイのみならず海外移住生活も砂上の楼閣であるということも解ってきた。
 そこで負担になってきたタイの会社を閉鎖撤退することにした。しばらく様子をみながらタイにはショートやロングのスティをして楽しむことにした。
 そういう理由からこのコラムも閉鎖撤退にあわせ終わらせたいと思う。これまでこのコラムを読んでくださった皆様に深く感謝いたします。ありがとうございました。
 (2013/12/31)
 タイで日本人のリタイアメントの男性がタイ人女性に保険金目的で殺された事件が起きた。これに関連してテレビ番組から取材を受けた。2014年9月25日放送のフジテレビ「ノンストップ」、2014年10月23日及び27日放送のテレビ朝日「モーニングバード」に出演しました。アベノミクスの円安誘導で円の価値が落ち為替格差による打撃で日本に戻ってきているリタイアメントが急増しているという。私がこのコラムで指摘してきたような事態が現実になってきた。
 (2014/11/11)

 

(左から… 我家のハウス外観、リビングルーム室内、工房外観、庭、守り神の沖縄製のシーサー、バナナ)