
©
(この資料は、ホットグラススタジオに著作権がありますので引用や転用は出来ません。)
Copyright(c)2007 .HOT GLASS STUDIO © All Rights Reserved.(この資料は個人的な資料情報調査収集及び研究・実験によって編集記述されたものです。
したがって正確・公正・安全を規す努力をしていると云えども保証するものではありません。
公的な規範や方法を記していたとしても、それをもってガイドラインとしたものではありません。
各個人の判断によって参考にして下さい。また、この資料内で使用されている専門用語や固
有名詞などの語意については解説しておりませんので、身勝手な解釈や誤解、思い込みに
よる錯誤などを含む、この資料によって得た情報によって生じたいかなる損害や不利益につ
いても、一切の責任を負うことはできませんので、予めご理解下さい。重ねてその旨をご了承
下さい。)
ガラス工房入門
[目次]
「はじめに」
◎ガラスの技法と道具・装置
◎スタジオグラスムーヴメント
◎日本でのスタジオグラスムーヴメントの展開とホットグラススタジオ
◎炉(窯)の種類・システムについて
☆ガラス熔解炉の種類
☆ガラス熔解炉のシステム
☆キルンワーク用電気炉の種類
☆キルンワーク用電気炉のシステム「基本概念」
☆キルンワーク用電気炉の製作実技
◎吹きガラス工房の実際
☆「ガラス作家への道」
☆工房の運営(経営)=作品の販売の仕方
☆さまざまな法規制について
☆イニシアルコストについて
☆築炉以外の経費について
☆主要な機械・道具類
☆ランニングコストについて
◎ガス燃焼式ガラス熔解炉製作法
☆炉材の種類について
☆ガスバーナーの選定
☆燃焼の仕組み
☆ガスの種類と特徴
☆ガス燃焼式のガラス熔解炉「設計の基礎」
《断熱計算式》
《小型ガラス熔解炉の製作・実技》
☆その他の備品の製作
《グローリーホール》
《ベンチ》
《マーバー》
◎ガラス熔解の基礎知識
《坩堝》
《坩堝交換》
《ガラス熔解》
《ガラス生地の管理》
◎徐冷について
◎ガラスの原料調合
◎色ガラスの発色法
「後記}
「はじめに」
この資料は私がガラスを始めてから試行錯誤し、多くの方に相談し意見を伺って集めたものです。
日本のスタジオグラスの展開はめざましいものがありますが、それに携わる多くの方が基礎知識を
持っているわけではありません。多くの関係者に接して、その事を痛感しました。
最近の世相は、一般人の権利意識が向上し、欧米のように訴訟社会になってきております。私達
ガラス作家が社会に受けいられ、その存在を認められていくには無知であってはいけません。しか
し、ガラスの教育機関であってさえも、この重要な知識を講義しているところは皆無です。ガラス工
房が急増している今、このままでは私達は孤立し世間とトラブルが続出しかねません。
これからガラス工房を持ちたい、開きたいと希望なさる方は是非この資料を一読してください。
きっと役に立つと思います。 凸ヽ( ^ ^ )v …RIKI
◎
◎ガラスの技法と道具・装置
(分類) (技法) (道具・装置)
ホットグラス …吹きガラス 〜熔解炉、徐冷炉、グローリーホール等
コールドグラス …カット、グラビール、サンドブラスト等 〜カット研磨機、サンドブラスター等
キルンワーク …パートドヴェール、フュージング等 〜電気炉
ランプワーク …ランプワーク(バーナーワーク) 〜専用小型バーナー等
ステンドグラス …ステンドグラス 〜半田ゴテ、電気炉等
エナメル絵付け …表現としてコールドグラス、焼き付けとしてキルンワーク
※上記のようにガラスの技法を展開するには、いろいろな道具や装置が必要です。
◎スタジオグラスムーヴメント
芸術家が自分のイメージをデザインし、それを自分で創りたいというのは至極当然な欲求ですが、
ことガラス工芸、特にホットグラスの分野においては、わずか30数年前までは、それはとても困難
なことでした。
それまでは、ガラスを熔かしている所はガラス工場であり、大きな熔解炉しかなく、吹きガラス技法を
展開できるのは熟練した職人だけで、ガラス作家はデザインし、それを職人に作ってもらうしかできま
せんでした。一番の障害は、ガラス作家が維持費を個人で負担を感じることなく使用できる小型のガ
ラス熔解炉がなかった事によります。
1962年にアメリカのトレド美術館で開催された実験工房において、自家製の小型の熔解炉が開
発され、これを用いて個人でも作れるという事が実証され、大学等にガラス工芸学科が開設される
などして全米に広がりました。こうして始まったのがスタジオグラスムーヴメントと云われるものです。
ドロドロに熔けたガラスの素材を、自分の手で自由に創作造形活動をしようという運動は。小型のガ
ラス熔解炉が開発されたことによって可能になりました。
◎日本でのスタジオグラスムーヴメントの展開とホットグラススタジオ
遅れること10数年、1979年にYAMAHAが開催したアメリカングラスナウでスタジオグラスが紹介
され、1981年に東京ガラス工芸研究所が開講して、やっと日本での展開が始まりました。
ホットグラススタジオは1984年に設立しましたが、当時スタジオグラスといえるような工房は全国
で20数ヶ所でした。しかし欧米のような小型のガラス熔解炉は群馬県に一基あるのみでした。
磯部グラスワークショップの小島氏はヨーロッパでそれを知り再現したのです。その他の国内の炉は
ほとんど風鈴用の旧式の炉をモデルにしたもので決して使い勝手のいいものではありませんでした。
ホットグラススタジオは、この磯部グラスワークショップに学び相談し沢山のアドバイスをいただくこ
とによって、改良された近代的な小型のガラス熔解炉を創り出すことができました。当時としては画
期的な炉でした。まだその頃は作家の数も工房も少なく築炉のノウハウは無いに等しい時代でした。
試行錯誤を繰り返し貧乏と苦難の日々でしたが、少数ながらも仲間意識と善意で繋がり、お互いに
情報交換などをして改良の連続でした。そしてノウハウを隠す事無くオープンにし続けたのが幸いし
少しづつ日本でもスタジオグラスムーヴメントが展開を始め現在の興隆に繋がっております。
今では数百を越える工房が各地にあります。
日本のスタジオグラスムーヴメントの黎明期からこの間、ホットグラススタジオは草分けとして多くの
築炉を手がけるとともにガラス作家へ窯作りの伝承をしています。
◎炉(窯)の種類・システムについて
ガラス工芸において、創作活動に道具や装置がはたす役割は大きく、その知識とメカニズムを理解
しておく事は重要です。
吹きガラスではガラス熔解炉が必須です。電気炉があるとパートドヴェール、フュージング、絵付け等
いろいろな技法が展開でき重宝します。
☆ガラス熔解炉の種類
「連帯窯」
‥ ガラス工場にある大型の工業用熔解炉のスタイル。地下のバーナーから吹き上がる中央のバー
ナーの炎を数基のネコツボが取り囲んでいる。同時にたくさんの色ガラスが熔かせる。
「小型クロ−ズンポット窯」
‥ ネコツボやジャパンツボはクローズンポットと云います。これを1〜2本使った個人用の窯。
旧来式のレンガだけで組んで、灯油・重油など液体燃料を使用していることが多い。
ガラスを熔解する坩堝は密閉構造で燃焼室と遮蔽されているので原料の飛散がなく、炉材消耗
が少ない。
当ホットグラススタジオの「超小型電熱式ガラス熔解炉」は、この密閉構造の利点を生かし、
高品質炉材を使用し省エネ化を飛躍的に向上させた画期的な最新式のガラス熔解炉です。
「小型オープンポット窯」
‥ 現在最もスタンダードな個人用の窯。先述した近代的な小型ガラス熔解炉の基本スタイルで、
ダンクハルクマン氏が考案した熔解炉-煙道-廃熱利用徐冷炉の一体型がベースになっている。
レンガ式の旧来構造と比較してセラミックファイバー系断熱材を多用し省エネ化を飛躍的に向上さ
せ個人所有・維持を可能にしている。グロリーホールの役割もできて経済的。
当ホットグラススタジオの「小型ガス式ガラス熔解炉」は、このスタイルを国内で2番目に実践
製作し、その後国内でのスタンダードモデルの原型となっております。
「ディタンク窯」
‥ ルツボを使わないでガラスの侵食に強い電鋳レンガの囲いの中にガラスを直接ためて熔かす窯。
板ガラスを作る工場の方式です。
「アメリカンタイプ・タンク窯」
‥ 基本構造はオープンポット窯で、点火や消火を繰り返してルツボ割れしても良い様にポットをキャ
スタブルの中に埋め込んである。

☆ガラス熔解炉のシステム
「灯油・重油などの液体燃料バーナー方式」
‥ 旧来のシステムでやっている工房や工場などはこの方式が多い。
液体燃料を霧状にして燃焼させる。燃料コストが安く済み、設備も単純軽微なので導入時や
維持経費等の経済的利点があるものの(資源が枯渇して原油が高騰してきているので今後
はそうでもなくなる?)、ターンダウン比(大きい炎の最大燃焼と小さい炎の最小燃焼の比率)
の差があまり無いのでコントロールがうまくいかなく安全性・操作性に難がある。
「ガスバーナー方式」
‥ ブンゼンバーナー式の単純なものから、ガスとエアー混合式のものまである。
またバーナーとブロワーが一体になったパッケージ型もある。混合式はガスとエアーの混合比
率を一定にできるので燃焼が安定しているのでコントロールがしやすい。もちろんターンダウン
比もあるので効率が良い。プロコンで温度制御を自動でコントロールすることもできる。
小型ガラス熔解炉に使われているNA社のテンペストバーナーはその代表格です。
「電熱(加熱)炉方式」
‥ 上記の方式は灯油等やガスを燃焼させるので、制御が複雑になったり操作が難しい面があり、
燃焼という状態に危険や不安があって、ある程度の知識と経験・慣れが必要です。
工業的には電極を直接ガラスの中に通して、その抵抗熱を利用してガラス自体を発熱させる
直接通電加熱方式が多く、工芸的には、炉の周囲に配置した発熱体による熱放射によって
間接加熱する電熱加熱方式があります。発熱体の種類により窯の構造が違います。
電熱炉方式の最大のメリットは燃焼音がなく静かで排出熱が少なく環境に優しく、密閉構造
なので省エネ性がありランニングコストが安くすみ、電気的コントロールだけなのでバルブ等の
機器の調整がほとんどなく操作や管理が簡単な利便性があります。
当ホットグラススタジオの「超小型電熱式ガラス熔解炉」は、その優れた魅力を最大集
約した画期的な最新式のガラス熔解炉です。 他社の同種炉と比較して価格や電気容量、
電気使用料で3〜5分の1である事がユーザーによって実証されております。
「その他」
‥ コークス炉等固体燃料燃焼式もある。
☆キルンワーク用電気炉の種類
キルンワーク用電気炉には、その技法の利便性によっていろいろなスタイルがあります。
また大きさも様々です。
「前扉式」 ‥ スタンダードのスタイル。
「上扉式」 ‥パートドヴェ−ルやフュージング、ホットグラスのロッドウォーマー、ピックアップキルン
など。構造がシンプルなので自作し易い。
「台車式」 ‥ホットキャストや重量物用。陶芸窯のスタンダードスタイル。
「スライド式」 ‥スランピングやフュージングなど急冷が必要な技法に最適。熱逃げが少ない。
「上蓋式」 ‥蓋がのせてあるだけの窯。
「アートボックス」‥電子レンジでフュ−ジングとか宣伝しているが、取扱説明書で禁止されている危険な
長時間使用法なので電子レンジが壊れ易いと云われている。
☆キルンワーク用電気炉のシステム「基本概念」
家庭用電源(単相100V)で使える小型のキルンワーク用電気炉を自作する為にその構造やシステ
ムを理解しましょう。
基本構造・・・炉本体とコントローラー(制御装置)で構成。
「炉本体」は断熱材で内張りし、その表面に電熱線を取り付け鉄製アングルでケーシング
(金枠)します。
「コントローラー」は温度調節器を中心に電力調整器や熱電対などで構成します。
@能力を決める
家庭用電源(単相100V)で使える電気炉は1.5kwまでの出力と想定します。これは、
家庭にあるコンセントやコードなどがほとんど15Aまでになっているからです。これ以上で
すとそれらに負担がかかり熱を持ち火事になりかねないからです。これ以上の能力が欲
しい場合は、コンセントやコードの規格をそれに合わせて変更するか、200Vの電源にし
ます。
一般の家庭用ブレーカーは30Aが標準ですので、その半分15Aを電気炉で使うとブレ
ーカーが頻繁におちてしまいますので、他の家電の使用を制限するか契約容量を増やす
などしてください。
(参考資料)
「オームの法則」・・・電流(I)=電圧(E)÷抵抗(R)
電力(W)=電流(I)×電圧(E)
電流の単位:A(アンペア)
電圧の単位:V(ボルト)
抵抗の単位:Ω(オーム)
電力の単位:W(ワット)
例えば、電池に豆電球をつなぐと電球が灯ります。これは電流が流れたからです。電流
の流れを邪魔している物を抵抗といい抵抗が大きいほど電流は流れにくいという事です。
豆電球は電流が流れにくい導体(鉄や銅などの電流を通しやすい物。ニクロム線は他と
比べ抵抗が大きい)を通る時に、この抵抗にあっておきる熱が光を発する性質を利用した
物です。電気炉はこの豆電球をニクロム線に置き換えた物です。
A大きさを決める
正式には、使用する炉材の熱伝導率やら、炉壁の厚さ、対流伝熱率、熱損失率、熱輻
射量などとても複雑な計算をします。また、炉材などの固有のデータ−も解からないと正
確な値も出す事ができません。
ごく簡単には、電気炉内の容積の総表面積=必要電力÷係数で計算します。係数は
0.3〜0.4にとりあえず設定します。新品で断熱性も格段に良ければ0.4以上でも良い
ですし、ボロボロになって隙間だらけだったり、炉壁が薄く断熱性の悪い場合は0.3以下
でも昇温は悪くなります。
例えば、1.5kw(1500w)の電気炉の場合、
1500W÷0.4=3750平方cm(6面の総面積)
幅25cm角、深さ25cm(25×25=625、625×2面=1250、総面積3750-1250
=2500、2500÷4面=625、625÷幅25=深さ25cmの電気炉が作れます。
B断熱材について
陶芸窯など従来の電気炉の多くは耐火レンガで作られていますが、ガラス工芸用の場
合は熱しやすく冷めにくいセラミックファイバー系断熱材を使用します。メーカーにより品名
が違いますが、これでは比較的安価なニチアス社製を使います。
(品名) (概要)
スーパーテンプボード … ゾノライト結晶を主体とした耐熱性を重視したケイ酸カルシウ
ム保温材。安全使用最高温度は1000℃
スーパーシリカボード … ゾノライト結晶を主体としたケイ酸カルシウム保温材。軽量か
つ強度がある。安全使用最高温度は850℃
ファインフレックスブランケット … 繊維化したファイバーを積層してブランケット状に成
形した高温用無機繊維断熱材。
安全使用最高温度は1100〜1500℃
C発熱体について
発熱体には定抵抗(抵抗値がほとんど一定)発熱体と変抵抗(抵抗値変化が大きい)発
熱体があります。
(分類) (種類・品名・最高使用温度)
定抵抗発熱体 … 合金〜ニクロム(1100℃)、鉄・クロム(1200℃)、カンタルA
(1330℃)
変抵抗発熱体 … 純金属〜タングステン(真空中2400℃)、カンタルスーパー
(1700℃)等
炭化ケイ素〜シリコニット(1600℃)、エレマ(1600℃)等
ガラス工芸用の場合、一般的にはニクロム線を使います。コイル状に巻いたスパイラル
と波型にしたものがあります。
炉壁に取り付けるニクロム線の長さは、長さ(L)=電圧(V)÷[電流(A)×固有抵抗値
(K)]で求められます。
例えば100V15A1.5Kwの電気炉で線径1.2mmのニクロム線の長さは、抵抗表の
固有抵抗値を見てK=0.955となり、従って100V÷[15A×0.955]=6.98mとな
ります。取り付ける面積を考え、線径の太さを変えてバランスのとれた長さを算出します。
実際は、抵抗表など解かりにくい事もあるので専門業者に相談することをお勧めします。
ニクロム線の結線の仕方には単相100V、200Vの場合は直列回路と並列回路があり
ます。三相200Vの場合はデルタ結線△とスター結線Yがあります。これも取り付ける面
積や形状によって選択します。
Dコントローラーについて
「温度調節器」 … 単に温度を表示するだけのものから温度設定をプログラムして正確
にコンピューター制御するデジタルプログラム温度調節器(略称:プロ
コン)まであります。10年程前までは10万円以上しましたが、最近
は半額以下になっています。温度管理は結構時間と労力と神経力が
いるので使用をお勧めします。
「電力調整器」 … 出力調整器でつまみをまわして手動で調整する方法がありますが、
やはり大変なので電力調整器を使います。これは温度調節器からの
指令信号を発熱体にいく電力を調整して伝える器具です。簡単なON
-OFF制御の電磁開閉器やソリッドステートリレー(SSR)、強弱に位相
制御ができるサイリスタ式電力調整器があります。これらとの組み合
わせをする時は、温度調節器の出力タイプを合わせて下さい。
[熱電対」 … 電気炉内の温度を検出して温度調節器に伝える温度センサー。

☆キルンワーク用電気炉の製作実技
※ここでは自作する手順を紹介しておりますが、炉材は必要量のみ購入できるのではなく1ケース単
位になり余りがでます。できるだけ無駄を少なく製作するのが肝心です。
また電気部品も特殊な製品なので個人で購入出来ない場合があります。
炉材や部品などのご購入については仲介いたしますのでご相談下さい。
@金枠(ケーシング)を作る
… 内寸に断熱材の厚みを加えた寸法が金枠の外寸になります。アングル鋼を切断し骨組みを
組立ます。溶接やボルト・ナット・リべッターなどで固定します。
A断熱材(ボード)の面取り図を作り、切断する。
… 無駄にならないようにするのがコツです。ノコギリ、ヤスリ、カッター等で切断する。
防塵マスクは必ず着けて下さい。
Bニクロム線を埋め込む場合はボードに溝を掘る。波型線をピン留めする場合は掘りません。
… (グラインダーで掘る方法)(ドリルで掘る方法)(カッターで掘る方法)があります。
Cボードを組立てる
… 接合部にFF接着剤を塗ります。→隙間にはブランケットのあまりをちぎって押し込むように
つめます。表面にはフアィバーキャスト等を塗りこみます。→性能良くするには断熱性を上げ
る事が重要です。隙間ができないように断熱材を互い違いに組みます。
Dツバ管や熱電対を差し込む穴をボードに開け、ニクロム線を取り付ける。
あらかじめニクロム線の両端はリード分(炉壁厚+ターミナルまでの長さ+α)とつておく。
スパイラル線の場合は均等に引っ張って長さを調整する(ヒモ等で溝の長さを計り、それに合わせ
て引き伸ばします。伸びすぎの部分と密に詰まっている部分が極端にならないように注意します。
破線しやすくなります)。
所々に弛み防止にステンレス線をV字形に作りピン留めします。
波型線の場合も同じです。また熱の分布を均一にするため等間隔に取り付けます。
炉床にも取り付ける場合は、ガラスが熔着して断線する場合があるので周囲に留め用の溝をつけ
たり、棚板などをのせるなど工夫をします。また、スランピングやフュ−ジング専用炉の場合は上
扉にだけ取りつけるスタイルがあります。
Eツバ管を差し込み、ニクロム線に豆碍子を通してターミナルにつなぎます。
上扉を取り付けたり、コントローラーからの耐熱電線をターミナルに結線したりして全体を組み立
てます。
Fこれで完成です。結線などに誤りがないかチェックして試運転します。
◎吹きガラス工房の実際
☆「ガラス作家への道」 ‥
好きなことをして生きたい‥誰でもがそう願っているに違いありません。しかし、
現実にはさまざまな困難が待ち構えています。それでも確固たる意思があるなら
ば、それを乗り越えていくことは可能です。
@作品をつくる ‥
ガラス作家を名乗るのは誰にでもできます。自分で制作するだけでなく、職人さん
に制作してもらって自作品としても十分に通用します。
日本のスタジオグラスの歴史はまだ浅く、作家層もさほど厚くありません。
実力がつき評価が高くなれば価格も上がり取引も増え収入も多くなります。
まだまだチャンスはあります。とにかく作品を作りましょう。
A作品を売る ‥
アイデアやデザインを考える膨大な時間と、作品を制作する手間と資金を回収しな
ければ生活できませんし、次の制作もおぼつかなくなりますので、作品をお金に
換えましょう。
☆ショップ・ギャラリーに営業する
シヨップ・ギャラリーに展示販売してもらいます。ショップでは委託販売なら、どこで
も置いてくれるでしょう。但し、ある程度の期間限定にすることを心がけてください。
売れるようになったら、勿論「買取」ってもらいます。また、ギャラリーで個展やグル
ープ展を開いて販売します。オーナーの考えにもよりますが、作家を発掘しようと
か育てようとかという気概をもったギャラリーは少なくなってますし、ガラスという素
材を理解しているかも重要です。自己表現などはあまり強くださずに実用主義で
いくのが長続きするコツです。デパートも同じです。
☆公募展などに応募する
武士は食わねど‥の信念で自己表現を第一と考える場合は公募展などに応募
しましょう。入選すれば何よりも自分に自信がもてますし、知名度もあがります。
ギャラリーオーナーなど多くの方がチェックしてますので営業もし易くなります。
ガイドブックも出版されていますが、ガラス系で有名なものには、日本クラフト展、
朝日現代クラフト、伊丹クラフト展などのクラフト系、金沢国際ガラス展、最高峰で
あるアメリカのコーニング・グラスレヴューなどアート系があります。審査基準にあ
る傾向(偏向?)がある場合がありますので、傾向と対策を練って出しましょう。
ローカルな公募展は入選し易いので確実な一歩になります。
B自分の工房を持つ‥
こうしてガラス作家としての実績と地位が固まってくると、勿論、仕事も増え注文
に応えていかなければなりません。世間の注目度も高まります。これに対し、即
応できる体制=自分の工房の必要性が求められてきます。仕事=生活資金の
元があるのに、仕事=作品制作ができないのでは前進できませんし、信用やイ
メージでもマイナスになります。時代柄、フリーターをしながらの工房レンタル作
家も増えてきてますが、いつまでも続くわけでもないですし、顧客やプロ作家、
販売業者の目も厳しい事を自覚しましょう。
C自分の工房を作る…
いよいよ自分の工房を作る事になりますが、いろいろな問題が立ちふさがって来
ます。一つ一つ解決していきましょう。
☆工房の運営(経営)=作品の販売の仕方
…工房の運営はどんな商売とも同じで、一個売れてナンボの世界です。
好きなことをして、それをお金に換える…この行為によって自分の人生と日常を
豊かにするのですから真剣に取り組みましょう。
貧乏も金持ちも天国も地獄も貴方次第です。
「ショップ」 …新人の頃は委託で、売れてきたら買取にしてもらいましょう。委託の場合はお互い
に管理が曖昧になり易いので注意して下さい。税務申告の場合も、委託品や在庫
品は資産扱いになり、手元にお金がなくても黒字扱いで課税されます
掛率は委託で60〜70%、買取で50〜60%位です。
「ギャラリー」…貸しギャラリーと企画ギャラリーとがあります。貸しギャラリーは賃貸料を払って場所
を借りるので、単に販売しなくても作品を発表したり、あるいは大量に販売できる自
信と量がある場合に良いです。企画ギャラリーはオーナーが企画を立てて作家を選
別するケースが多いので売上げを気にしなくて良い面があります。
「デパート」 …大会社なので安心できるが、それだけに売上げ目標があったりで、それをクリアーし
ないと二度と話が来ません。催し物の感覚なので常に企画がはいっています。大企
業向けの贈答品営業をしている場合があるので、そういうスポンサーがつくとラッキ
ーです。
「身 内」 …最後の切り札。親・兄弟・親戚・友人・知人など身近な人に引き出物や贈答品(おつ
かい物)として買ってもらいましょう。初めのうちは、ご祝儀や同情支援もあるので買
ってくれますが何時までもアテにしないで下さい。結婚式の引き出物は数がまとまっ
た量になるので嬉しい限りです。
「直 販」 …工房内ショップでの直接販売。掛率なしで日銭が入るのがたまらないメリットです。
フリーマーケットにも出しましょう。
B品セールもできるので不良在庫しないメリットもあります。
最近ではホームページを利用したネットショップで販売する方法もあります。
「そのほか」…問屋・企画デザイン会社・建設業・インテリア業など。
美術館ショップとかデパートとかの販売コーナーを持っている問屋さんや工芸展の
企画コーデネーターなどは中間マージン(10〜20%のマージンをとって掛率が50
%をきる場合がある)をとります。
企画デザイン会社・建設業・インテリア業からは、宣伝広告用とかディスプレー用、
あるいは建設資材やモニメント用とかのオブジェ作成などの依頼があります。これら
は値段があってない世界なのでとても嬉しくオイシイ仕事です。
「営業活動」…以上のように基本は、作品の制作とその販売によりますが、それだけでは収入に限
界があります。いろいろな収入源を考えましょう。
観光地なら→体験制作。季節商売なのでハイシーズン時の体力と根性が必要。
都会なら→教室やレンタルスタジオ。最近は乱立・過当競争気味。
田舎なら→とにかく支出を減らすこと。食料は自給自足します。スローライフです。
その他→収入の不足分をアルバイトなどをして確保します。
最近ではCAFEを併設するなど本業と違う事をする傾向があります。皆な食う為に
真剣です。
〜理想は〜 所得のとても多い人や働かずとも収入のある人は趣味でやりましょう。
工房や作家の中には元々お金持ちの方や道楽でやっている方も少なからずいます。
結構羽振りのいい生活をしているからとガラス作家は儲ると勘違いしてはいけません。
こういう方に惑わされず気にせずに、貧乏にめげないで力まず競わずにやりましょう。
今でこそ何処でもやってますが私は個人スタジオでは教室やレンタルスタジオを
東京で最初に始めたり、体験制作を国内で2番目にプロデュースしたり、常にトレンド
を創出し先取りしてきました。いわゆる「元祖」です…これって自画自賛?(^_^ゞ
時代の変化は早く5年スパンで変わっていきますので、これからの工房運営には、
常に5年先10年先を見据えて行動する意識を最低でも持ってないと厳しいかもしれ
ません。変化のスピードには「潮目」を見て判断し行動する勇気を持つのも重要で、
そうでないと人生を破綻しかねません。そういう方を幾人も見てきました。
キャリアを積めば実績もつきます。そして一方で傲慢も生まれます。欲も出ます。
若い作家の卵も年400人規模で後を追ってきます。歳もとります。そのぶん感性も
体力も衰えます。チョイ昔と違い、とんでもなく先の見えない不透明で不安定な時代
になってきてます。工房が飛躍的に増加し競争も激しくなってきてますので、どうする
のが理想かは、それぞれの価値観です。
私の工房は、1984年に仙台市近郊でスタートし、その3年後東京に進出し数年前
までは都内に2ヶ所工房を運営し国内でも有数な規模にまで拡大しましたが、頂点後
に来た時代の景気後退を機会に「潮見」と見て判断し、「ただ忙しかった」20数年を区
切りにしようと価値観の転換をし、アジアのタイ国にスタジオの拠点を移しました。
後続のガラス工房のモラルハザードな態度に対する嫌気も一要因だったかも…。
スタジオグラスの先進国であるアメリカやイギリスではこれまで2度にわたり大きな
拡大の後に淘汰による閉鎖や大規模な縮小があったという歴史的事実があります。
自戒をこめていうと工房の規模は身の丈が良いと思います。売上げが伸びれば金銭
感覚が麻痺するし、多角経営になり雇用者が増えると人事管理ができなくなりますし
社会的義務も課されてきます。知らず知らずのうちに部下の気持ちが離れていきます
ので気がついた時には不信感と孤独感でストレスだらけになります。
そんな反省から…好きな事を好きな物だけ好きな時に創る…物欲や金銭欲を無くせ
ば、ストレスも無くなり理想に近づけます。それこそスタジオグラスの「原点」です。
私は試行錯誤をしながらも今は物価の安いタイと日本の田舎で自給自足をこころがけ
スローライフを実践しています。(*^^*)V。
〜社会の眼〜 ハローワーク(職業安定所)のホームページでは、客観的な評価がされています。
ちょこっと参考に覘いて見てください。(正確な評価をしていると思います。)
⇒キャリアマトリックス-職業情報113芸術・工芸A183-10(ガラス工芸家)で検索
☆さまざまな法規制について
はっきり言ってこの法規制についての関係者の無知があまりにも多すぎます。
吹きガラスの魅力は、雑念がすっ飛び無心になれるところにあるかも知れませんが、
それと一緒に自由闊達になり無知になってはいけません。けっこうアナーキーでリス
キーな方が増えてます…バッシングが怖いのでこれ以上は書けません。ヨョ( -_- ;)
それぞれの自覚で調べて判断してください。基本は次のようになります。
コンプライアンス(法令順守)は全てのモラルの基本です。
「都市計画法」…どこにでも工房を建てたり開設できるものではありません。
都市計画法では、以下のように分類されます。
@作業場併用住宅…作業場が50m2以内で、かつ住宅全体の面積の2分の1以下。
地域指定なし。但し、原動機出力が0.75Kw(一馬力)以下。
住宅併用なので作業場単独は新規では難しい。
A工場または作業場(150m2以内)…第一種・第二種住宅専用地域は完全に不可。
他の指定地域でも事業としての「ガラスの製造」は原則不可になっている。
B工場または作業場(150m2以上)…準工業・工業専用地域のみ可。
予定地がどういう地域かを調べるには、役所の都市計画課などで下調べをします。
この際に、正直に具体的な内容や目的を担当者に説明しますと後々厄介なことにな
ります。地図などを閲覧してからにします。それは、「工場」とか「工房」とか云う表現
をしますと、前述のABに該当すると決め付けられ指定地域外ではまず不可能になり
ます。小規模だからというのは通用しません。ましてやガラス工房などという珍しいも
のは担当者に印象が強く残ります。ガラス工房がどういうものかをイメージして理解し
てもらうのは誤解を解くほど難しいです。
エ?これってB以外出来ないということ!?…Σ('ロ';!!…コメント出来ません。
最近では住民意識が変わり、訴訟社会になってきましたからトラブルが起き易くなっ
てます。苦情で操業が止まったり対策に高額な資金がかかった話をよく聞くようにな
りました。田舎でも規制があります。「市街化調整地域」では建設すらできません。
「建築基準法」…
@工房を新築する場合
住宅と一体とする場合…理想的には鉄筋コンクリート造・鉄骨造・ALC造などが、
防火や遮音性などが木造などの在来工法造と比べて優れていますがコスト高で
す。いづれにしろ、火気を継続使用し常に高温にさらされて極限の乾燥状態にあ
るので「内装制限」に触れるので、不燃内装材を使用しなければなりません。
消防法(後述)による規制も併せて考える必要があります。
A工房を独立させる場合
居住の為の間取りや2階建以上にしないので、それを支える柱の位置や構造を考
慮しなくても良いので、軽量鉄骨造やプレハブ造で十分です。尚、既に家屋があり、
その一画に建てる場合(増築も含む)は正式には建蔽率や容積率の制限を越えな
いようにして、更に用途変更及び建築確認申請をしなければなりません。
B借りる場合
基本的には@と同じです。改造したり、著しく傷めた場合は退去時に入居時の現
状に復帰させなければなりません。この経費はあなどれません。
C建物の構造や換気・吸気について
消防法と重複するので後述します。
建物関係に関連して・・・
「騒音の問題処理について」
…前述した都市計画法の@Aでは騒音が出ないことを前提にされています。しかし
作業や機械・装置・換気扇とかから音はでます。外壁とかドア・窓などの開口部の
位置や材料に工夫をこらし防音・遮音・吸音※について最大限努力しなければなり
ません。知るところこの問題でトラブルになった工房が複数あります。最新事例では
東京渋谷のスパ施設の爆発事故原因の1つに騒音がでる為換気扇を止めていた
と指摘されています。認識の甘さと対策の間違いが大惨事を招きます。
※騒音の定義について
「防音」;音の発生源そのものからなくす事
「遮音」;戸外の人に音が伝わらないようにする事
「吸音」;戸外の人が音をうるさく感じないようにする事
「消防法」 …基本法と市町村等の自治体が制定している「火災予防条例」
@「火を使用する設備等の設置」届
「炉設置」届、「防火対象物(使用/工事等計画/概要表)届」など。
・その地域の消防規制が、防火・準防火・指定なし、によって建物の構造に規制・
指導があります。
・設備については、その内容や能力について詳しく説明できる図面等が必要です。
あらかじめ準備しましょう。電気・消防設備についても同様です。
・据付け面積が1u以上の炉の場合は「火気使用設備等の設置届」を出します。
逆論でいうとこの点が重要です。1u以下であれば出さなくても良いことになるので
この届けから派生する諸届けも不用になるのでかなり制約がなくなります。
・各種安全装置(対震安全装置・炎検出装置・ガス漏れ検知器など)の設置
・避難路・設備の確保。都市部で雑居ビルの一部を使用する場合は「防火管理者」
の資格が必要になります。
・換気・吸気口の設置。室内で火気を使用する場合、正常な燃焼を得る為に、また
室内の温度の過度の上昇を防ぐ為に換気・吸気が必要です。自然換気でも良い
のですが、法律解釈は、ただ窓があれば良いのではなく、換気・吸気※を理論的・
機械的にしなさいという意味です。
換気扇には「有圧扇」とか「シロッコファン」などの種類があります。取り付け箇所に
よっては「防火シャッター付」も要求されます。また高額な耐熱仕様にしなければな
りません。前述した様に換気扇からは騒音が発生します。併せて騒音対策をしなけ
ればなりません。
※換気・吸気について
建築基準法等では1人当りの専有面積から算出する方法などがありますが、燃焼
装置を使う場合は換気量は消費酸素量の40倍とされています。例えば、バーナー
の最大消費熱量が50.000Kcalの場合は40×0.0014(必要空気量の定数で
液体・気体燃料ともこの定数)×50.000=2.800m3/hで、一般的な家庭用
換気扇の排気量(約1.000m3/h)の約3倍になり、3個の家庭用換気扇が
必要ということです。もちろん吸気扇も同じ量必要です。
A「少量危険物取扱設置所の設置」届け
・灯油〜燃料タンクが1000リットル以上は上記届け出が必要。
200リットル以上でも漏出防止枠を設け確認の届け出をします。
・プロパンガス〜300kg(50kgボンベ6本分)以上の貯蔵及び取扱は届出が必要。
※「プロパンガスの貯蔵限度について」…前述した都市計画法では@では3.5トン、
Aでは7トン、Bでは35トンと制限があります。大規模でなければ実際はこれほど
の量を貯蔵する事はありえません。
※消防法の規制は厳しく指導通り対策をすると高額の経費がかかる事があります。
その為、都市計画法や建築基準法同様に無視したり怠ったりするケースが多々
あります。法規制の裏をかく脱法行為もありますが、事故や事件が起きた場合の
責任の重大さと社会的処罰を認識する必要があります。
「公害防止条例」…工場として認可をとる場合は届け出をします。主に有害物質の有無などの記述が
中心ですが、最近ではカレットゴミなどの産業廃棄物ゴミの処理等について規制が
厳しくなってきています。処理料も高騰してきていますし処理場も限度がきています。
我々の死活に関わる規制がかからないよう、ゴミを作らないように心掛けましょう。
レンタル工房ではガラスの透明度維持の為「サオ元」を選別し捨てていますが毎日
膨大な量がでます。二者択一出来ない質の維持と環境維持の問題、一方では、リ
サイクルガラスを使いガラスビンの選別や洗浄がかかせない工房が共存する現実。
自己矛盾と良心と葛藤しながらも、環境破壊を防止する取り組みを我々は真剣に
考える時にきていると思います。
「電気事業法」 …ガス管・水道管と屋内電気配線は10m離します。
「労働安全衛生法」…設備関係では10本以上のボンベを導管で連結した場合などで、酸素を使用し
て加熱する場合は届出や検査があります。
また工房業務従事者は機械や熱などによる危険を防止する必要措置を講じる責
任があり、それは被雇用ならば経営者でなく作業している雇われている現場責任
者にあるので事故を起こした場合は社会的制裁(業務上過失死傷など刑事罰)を
受けますので責任を自覚して日常的管理点検を欠かさずして下さい。
※ 環境保護について‥‥‥
法律の規制にはありませんが、国際的にはRoHS規制の「鉛の排出規制」や「京都議定書の
目標達成」があり、鉛含有のクリスタルガラスの使用制限や炉からの排出熱について規制が
強められつつあります。
最近の地球規模の異常気象を受けポスト京都議定書作成の2013年の国際環境保護会議ま
での近い将来に、国内法整備が進む可能性があります。ガラス工場のみならず吹きガラス工
房からも高温排熱が大量に出ます。最近の世論の環境保護規制を求める声もますます厳しく
なってきてます。2008年の洞爺湖サミットに向け、国の施策も地球温暖化防止に向けて急展
開してきました。この事も緊急かつ重要な課題と認識する必要があります。
当ホットグラススタジオの「超小型電熱式ガラス熔解炉」はこの時代のニーズに答える
環境に優しい最新型の超低公害・超省エネのガラス熔解炉です。
(拙作☆Star child☆とMather Planet☆ Earth☆)
☆イニシアルコストについて
吹きガラス工房の設備の内、ガラスの熔解炉・徐冷炉は最低限必要な設備です。資金(予算)にあ
わせてみてみましょう。設備以外の経費もかかりますので別途に念頭に入れときます。
消耗する設備は使用頻度、管理維持具合にもよりますが5年前後でかなりくたびれます。また時代
の変化も慌しいですから、借入の場合、次のステップも想定して2〜3年で償還する位のハイリターン
返済計画でいかないと後が厳しいものになりかねません。これはかなりきついノルマです。
(資金がゼロの場合)
→夢と思って諦めて下さい。ガラス工房は創業にも維持にも資金がかかります。
→諦めきれない場合
@身内から借金する(若ければ親の資産を担保にすることもできます)。
A返済できる範囲で国民金融公庫などから借金する。
B地方の過疎対策資金を利用する(恩義を忘れず一生その地に住む事!)
(資金がある場合)
→資金を少しでも節約したい場合は自力で製作しましょう.
そして多くの方と交流して資料や知識・情報・経験談を集めましょう。
専門的分野になりますから自力製作できる能力がないとできませんし、その為の知識・経験も
必要になります。無知や未熟により温度が上がらない等の失敗例もよく聞きます。
このような自己責任によるリスクを覚悟しなければなりません。
とてもある場合は、だれでも利用できる立派な施設を作って格安料金で社会貢献して下さい。
金儲けしたいとか金銭欲のある方はもっと利益の出る商売をお勧めします。
@予算100万円未満…20kg程度の熔解炉
旧来のレンガ積構造の単純な炉と小型の灯油バーナーを使用した簡易な炉。
〜昇温に限度があるので、カレットしか熔かせません。
A予算150万円未満…前の@のバーナーを手動制御のパッケージ式ガスバーナー(正英
FBX25など)や高カロリーの灯油バーナーにする。
〜温度が上がり、バッチが使えるようになります。しかし@同様に殆ど最小の経費で作り、
手動式制御なので操作には経験やコツが必要です。
B予算200万円未満…前のAのバーナーをプロコン付き温度自動制御や安全装置のついた
パッケージ式ガスバーナー(正英FBX50、スーパーロータリーバーナーなど)にする。
炉材もレンガ以外にセラミックファイバー系断熱材が使用でき断熱性能も向上する。
〜温度制御が半自動制御になり、燃焼カロリー性能が上がるので昇温し易くなり炉体も少
し大きくできるようになります。バーナーは埋没式でないので失火の危険があります。
C予算300万円未満…更にグレードアップしてプロコン付きパッケージ式バーナー(正英SP
100など)とか、最も高性能でメジャーなバーナーのテンペストバーナーをつけた本格的な
熔解炉ができるようになります。
〜バーナーの能力により大容量の熔解も可能です。システムUPすればほぼ自動制御も可
能になります。
→資金はあるが自作するのに不安がある場合は専門業者の熔解炉を買います。
当ホットグラススタジオは吹きガラススタジオとして23年の実践キャリアをベースにして、
ガラス熔解炉メーカーとして国内第2位の製作実績がありますので、お気軽にご相談くだ
さい。この資料も含め窯(炉)作りの伝承も当スタジオの目的です。ハード技術のみの製
造専門メーカーとは違う同業としての適切なアドバイスやアフターケアが受けられます。
@130万円台…当ホットグラススタジオの「超小型電熱式ガラス熔解炉」がお勧めです。
超低価格・超小型・超簡単操作・超低騒音・超低公害・超低維持費です。
A350万円台…当ホットグラススタジオの「小型ガス式ガラス熔解炉」 (50kgポット迄)
B450万円台…当ホットグラススタジオの「中型ガス式ガラス熔解炉」 (〜120kgポット
迄)。某社の小型ガス式熔解炉。
C600万円台…某社の小型ガス式熔解炉(50kgポット、グロリーホール付)。
他には、ほとんど実績のないメーカーの炉。
D700万円台…某社の電熱式熔解炉。
☆築炉以外の経費について
「建物」
…新築するならピンキリです。法規制をチェックの他、近隣住民の様子も調査しましょう。最近は少々
の事にもクレームをつけられたりしてトラブルになるケースが増えています。借家ならよく相談して
理解・納得してもらう事が最低限の条件です。とにかく人柄(^^)を売り込む事が大事です。
「配管工事」
…ガスの場合、プロパンガスでも都市ガスでも配管工事費をとられます。ボンベ置き場あるいは、
元管からの距離及び管の径、途中のコック類等で計算されます。都市ガスで20〜50万円位、
プロパンガスは10万円前後からです。プロパンガスの場合、サービス工事してくれて工事代が
かからない場合があります。但し、契約単価のリサーチをちゃんとしてやらないと、後で他の業者
の単価が安いからといって契約破棄はトラブルの元です。すぐ廃業する場合も同じで、工事代を
請求されるケースが多いです。灯油も貯油タンクなどが必要ですし、配管工事もかかります。
「電気工事」
…バーナーの機種や加工機械・電気炉を使う場合は単相100Vの他に単相・三相200Vの電気
工事が必要です。ブレーカーの数や配線の長さにより工事費が違いますが数十万円かかります。
「加工機械・設備・道具類」
…電気炉中心の場合は、電気炉を自作しましょう。作り方は前述したとおりです。小型で7〜10
万円位、中型で20万円位、既製品や特注品を購入するなら、その2倍近くします。
当ホットグラススタジオの「電気炉」 がお勧めです。
研磨機は自作が難しいので、既製品を買う方が良いと思います。吹きガラスの研磨の場合、
平盤(平面研磨機)・ポンテリムーバー・カット研磨機・木盤研磨機が必要になります。この経費は
かなりかかるので、多くの工房は、ポンテ跡を酸素トーチで熔かすか、リュ−ターで削っているケ
−スが多いです。高級志向の所は研磨屋さんに外注してます。ポンテリムーバー類の小型卓上
品で20万円台から、プロ仕様のカット研磨機は60万円台からします。これにカット用ダイヤモン
ドホィールをつけると更に数十万円増えます。(※国内の専門製造メーカーは数社しかありません
が後継者不足等で存続が危ぶまれています。熟練工の作り出した製品がなくなっていきます。
購入は急いだ方が良いと思います)
その他には、コンプレッサーがあると便利です。サンドブラストの空気供給用にもなります。製作
道具類は、その人のこだわりでピンキリです。鉄砲や大箸は必需品ですが、これさえ手作りして
いる工房はいくらでもあります。
☆主要な機械・道具類(10年程前の価格です)
「小型卓上ポンテリムーバー(ホィール別)」…20万円以上。
「カット研磨機(片軸式、ホィール別))」
…K社65万円以上、Y社75万円以上。
フランジを交換して切断ホィール・バフ・木盤などに使える。ホィールは一本10万円以上します。
「カット研磨機(両軸式、ホィール別))」
…K社67万円以上、Y社65万円以上。
磨き出し用に木盤に磨き粉や酸化セリウムを溶かして使う。穴あけドリルでやる方法もある。
「平盤研磨機」
…K社30万円以上、Y社69万円以上、I社40万円以上。
一般的に金剛砂を水と混ぜて使用する。ダイヤ式もあるが高価です。交換式の人工ダイヤモンド
マグネットパットもある。陶芸用のロクロを転用してやる方法もある。
「サンドブラスト機(本体のみ)」
…F社100万円以上、SH社20万円以上、SA社70万円以上。
主に直圧式と循環サイホン式がある。ノズルの形状・集塵機の大きさ・BOXの大きさでいろいろ。
「コンプレッサー」
…一馬力以上必要です。10万円以上。
深堀りするなら三馬力以上がお勧め(75万円以上)。中古なら半額位からあります。
「その他」
…ベルトサンダ−、切断機などがあると便利です。
「吹きガラス工房専用の道具類」
…マーバー〜20万円以上。
ベンチ〜8万円以上。
鉄砲〜カレット・バッチ投入用(土木用平スコップでも代用できます)
大箸〜蓋類をつかむヤットコ状の道具。
☆ランニングコストについて
金喰い虫の吹きガラス工房を例にとってみます。リサーチした個人工房の1ヶ月平均です。
(1〜2人規模対象)
「燃料代」
…プロパンガスで16万円位(オープンポット約40kg熔解廃熱利用徐冷炉グローリーホール無し
兼用。仕事量によります)。運送経費がウエイトを占めるので遠隔地ほど高くなります。
都市ガスは使用量や為替レートにより変動し契約内容によります。中規模以上で使用量が多け
れば、プロパンガスよりも安くなります。規模がやや大きくなる所で18万円位から。
灯油等は10万円前後が多いようです。熔解量もジャパンツボ30斤(約20kg)程度が多く比較し
にくいのですが使用しているバーナーのカロリー換算でみると、プロパンガスより約20〜30%
位安いかもしれませんが、熔解量換算でみると逆に高くなります。(※最近の原油高騰で価格が
大幅に上昇したそうです。再リサーチでは5年前より20〜30%UPしたそうです。)
あと数十年で原油の枯渇も予想されているのでエネルギー資源の転換は必至です。)
当社ホットグラススタジオの「超小型電熱式ガラス熔解炉」の場合、電気代がこれにあたり
ますが、ユーザーの平均で約5〜6万円と云う嬉しいデータ−がでています。別にグローリーホー
ルが必要なのでそれのガス代が必要ですがそれを加えても、ほぼガス式と互角になっています。
イニシアルコストや利便性、環境を考えると手前味噌ですがベストチョイスですので是非ご購入を
検討して下さい。
手持ちデーターによる参考比較では、最大経費の燃料代は熔解量によって以下のような比較
が出来ます。
20kg熔解/灯油式…10万円前後。
30kg熔解/当スタジオの超小型電熱式ガラス熔解炉(30kgタイプ)+グロリーホール付
…13万円前後。
45kg熔解/当スタジオの超小型電熱式ガラス熔解炉(45kgタイプ)+グロリーホール付
…15万円前後。
40kg熔解/グロリーホール無し兼用プロパンガス式(NA社バーナー使用)…16万円前後。
60kg熔解/グロリーホール付き都市ガス式(NA社バーナー使用)…18万円前後。
〜契約や使用状況により単純比較は難しいですがおおよその参考にしてください。
ガス式で100kg以上熔解するならプロパンガスより都市ガスの方が安くなりますし、ボンベ置
場の不安も解消します。しかし燃料代コストだけでは電気の方が更に安くなりますが、100kg
以上の大量熔解になると電熱式の場合は大容量の電流が必要になり、変電設備も含め大工
事になりイニシアルコストが急激に高くなるので、初期投下資金もかなりかかり資金回収に時
間のリスクを要します。
「原料代」
…月300〜450kg使用が一般的ですので5〜9万円。円安・資源高騰で年々値上りしています。
「水道代」
…研磨機無しなら一般家庭並み。5.000円位。
「電気代」
…一般電灯と低圧電力(三相200V動力用)合わせて15.000〜20.000円位。研磨機があっ
たり、徐冷炉やロットウォーマー等が電熱式の場合は更に加算される。
「ルツボ代」
…30キロオープンポットが@30.000円以上で約3ヶ月使用(1ヶ月約1万円の償却。
ジャパンツボは約半値。ネコツボは約1,5倍の価格。 その他蓋類を加えて、
10.000〜15.000円位。これも最近の原油高騰のあおりで値上がりしてます。
「修繕費」
…炉材が新しいうちは殆どかからないが少しづつ増えてくる。手作りの場合は程度次第。
〜1万円位。
「研磨材」
…研磨機がなければゼロ。ある場合は使用頻度による。〜1万円位。
「材料代」
…カラーロッド代や金、銀箔などの材料費、透きだけならゼロ。使う場合は上限なし〜3万円位。
「荷造運送費」
…宅配便代や包装材(エアーパッキン、箱代)等。発送量や包装の仕方による。少量取引の場合
は着払いにするように交渉すべきです。1万円位〜。
「消耗費」
…道具も使えば消耗してくる。新しい道具も欲しくなるので、新規購入分も含めると平均して1万円
前後かかるかも。
「家賃」
…借家の方は、その賃料。自前としても、その償却費分。
「その他雑費」
…カレット屑やゴミなどの産業廃棄物処理費(処理場不足にて年々上昇しています)。文具代や
電話代など通信費。地方なら車が必要なので、その維持費(結構かかります)。
「人件費」
…1人や身内とやるなら、それで済みますが助手を雇うなら世間並みの給与を払わなければなり
ません。押しかけ弟子が来ても昔の徒弟制みたいな事は労働基準法で禁止されていますので
きちんとしましょう。また研修実習とか技能実習を名目にした無給とか格安労働も同様です。
格差社会の今、ワーキングプアの生産現場になるのは良くありません。
上記を合計すると最低でも25万円前後、平均的にみて40〜50万円前後の維持費が毎月かかり
ます。経費削減の涙ぐましい努力が必要です。
このために収入はどの位あれば良いのでしょうか?
「連合」の資料によると、100人以下の中小企業の平均給与月額は、以下の通りです。
(年齢) 22歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳
(給与) 19万 22万 27万 32万 36万 41万 46万 (単位;円)
これを目安に、自分の生活費を加算してみて下さい。勿論ルツボ交換など火を落とす期間(制作でき
ない期間)も考慮して下さい。そうすると年間稼動率は8〜10ヶ月程度になります。
これを数式化すると、
(ケース 1)
最低ラインの維持費30万円、助手なし、一般平均より低い生きていくだけの生活費20万円
(いわゆる「ワーキングプア」の水準)
(30万円×10ヶ月)+(20万円×12ヶ月)÷12ヶ月=45万円+α=約50万円。
(ケース 2)
平均的な維持費45万円、助手なし、一般平均より低い生きていくだけの生活費20万円
(45万円×10ヶ月)+(20万円×12ヶ月)÷12ヶ月=58万円+α=約65万円。
(ケース 3)
平均的な維持費45万円、助手1人、一般平均より低い生きていくだけの生活費20万円
(45万円×10ヶ月)+(20万円×12ヶ月)+(15万円×10ヶ月)÷12ヶ月=
70万円+α=約77万円
以上が標準的な必要経費+生活費になります。
この数値を元に、売上げ目標額を割り出します。
売上げ目標額は、制作量でも在庫量でもなく確実に売れてナンボの現金収入額です。
この数字には創業時のイニシアルコストの償還分は含まれていませんので別途算入して下さい。
卸売りする場合の掛率50〜60%で換算すると、上記のケース1〜3は、それぞれが凡そ100万
円、130万円、150万円になり、それが1ヶ月当たりの売上げ目標額になります。この金額を働き
づめ休み無し30日で割り出すと、1日あたりの最低制作ノルマがでてきます!?
……………(;_;)……………。
とにかく好きでないと続きません。忍!忍!
若い方は結婚して、子供が出来て、その子が思春期になって支出が収入を上まわる時期も考えて
生涯設計しましょう。貧乏は覚悟して下さい。それでも自分が親から授かった事は自分の子になせ
るようにして下さい。子に犠牲を強いてまでやる意味はありません。
また、吹きガラスの仕事は結構体力がいりますので老いたらいつ迄も出来るものではありません。
創作に重要な感受性も鈍磨します。老後を考え年金も払い貯蓄もして将来に備えましょう。
(気になる事…最近若いガラス作家の離婚が増えている。年金を払わないでいる作家も沢山いる。
年金が破綻する時は国家も破綻する時なのだから20数年後には元ガラス作家のホームレスがでて
きそうだ?不確かな情報に翻弄されずに、今だけを見るのではなく真剣に人生考えてほしい。)
貧乏を覚悟と云えども「貧すれば鈍する」の諺とおり、貧乏すぎると頭の動きも鈍くなり、アイデアも
デザインもでなくなり、気力も無くなります。ほどほどにしましょう。
◎ ガス燃焼式ガラス熔解炉製作法
ここでは、ガス燃焼式を紹介します。草分けとして開発の一翼を担いスタンダードモデルとしてノウ
ハウをオープンにしてきました。材料とバーナーユニットがあれば比較的製作が容易です。
尚、ここで紹介するガス燃焼式ガラス熔解炉は既成の公開された方法によるもので特許等で保護
されているものではありません。前述した電熱式の場合は当社も含め各社ともそれぞれの技術など
で製作され特許等を取得しており自作や模倣はできませんのでご注意下さい。
☆炉材の種類について
(1)不定形耐火物(キャスタブル耐火物=耐火コンクリート)
「耐火キャスター」
‥主に炉の内側(炉壁・炉床・炉天井)に使う。
断熱性よりも耐火性を持たせた物。主成分は、アルミナとシリカで、アルミナが多いほど耐火
性が上がります。最高使用温度より2〜300℃以上高い耐火性のあるのを使います。
「ライトキャスター」
‥あまり直火のあたらない断熱性の必要な箇所に使う。ただし、グローリーホール等では耐火
度の高い(1500℃以上)タイプを使う。耐火性よりも断熱性を持たせた物。耐火キャスターほ
ど強度がないので、施工は水を少なめにして密度が濃くなるようによく固めて下さい。
「ジルコン質ラミング材」
‥炉床などへのガラスの浸透防止用に使う。
《実技》 耐火キャスターの施工法
@内型を発泡スチロール等で作る。外枠は合板等で作る。キャスターの重量で押されて枠が膨ら
み易いので補強はしっかり入れて下さい。水分を吸収されないように表面にガムテープを貼る。
内型にも型離れし易いように貼る。
A袋に記載されている規定の混合比で水とキャスターをシャベルやスコップで混ぜる。やや水気
の少ないボソボソした感じがGOODです。
B混合したキャスターを型に流し込む。流し込んだら棒等で突きながら固める。専用のバイブレー
ターがあると効率が上がる。中の空気が抜け密度が増し強度も上がり長持ちします。
C流し込みと固めが終わったら、乾燥予防のため表面にビニールなどでラッピングし養生する。
時間がたつと熱がでてくる。約1日で完全に固まるので型がはずせる。
(2)レンガ
「耐火断熱レンガ」‥用途によって次のように区分されます。
(A類)軽量であるが強度が小さい。よって築炉技術を要する。熱伝導率は低い。
(B類)A類に比して強度が大きく価格も安いので一般的によく使われている。
(C類)圧縮強さが大きく炉床など荷重や振動を受ける箇所に使う。ある程度の磨耗にも耐えら
れる。
(SK類)耐火性を重視したレンガ。ぜーゲル・コーン(発明者名)の略。耐火度の記号でもある。
蓄熱性が良いので、保温が必要な箇所に使うことがある。その分熱量も消費する。
「電鋳レンガ」 ‥SKレンガより熱強度や熱衝撃を強化した耐熱レンガ。
(3)モルタル
シャモット質(SK34以下)とアルミナ質(SK35以上)等がある。レンガの接着等に使う。
(4)セラミックファイバー系断熱材
他の断熱材と比較して耐火性・耐久性はあまりない。従ってガラスの侵食には弱いので直接接
触するところには使えない。
「ハードボード」 ‥ケイ酸カルシウム保温材。アルミナファイバーを加えた耐火性の高い高温用(
1400〜1700℃)高級ハードボードもあります。
「シリカボード」 ‥ハードボードより強度や断熱性がやや劣るケイ酸カルシウム保温材。
「ブランケット」 ‥繊維化したセラミックファイバーを積層してブランケット状に成形した断熱材。毛布
のようにフワフワして軽く柔らかい。ロール状になっているのでキャスタブル耐火
物の外側に用いて広い面積を覆うことができる。
密度の高い方が長持ちする。耐火度があるのもありますが、一般的には蓄熱し
にくいので断熱用に使う。
「フエルト」 ‥ブランケットを板状にした物。強度はあまりない。
「ウェツトフエルト」‥フエルトをポリエチレン袋に入れ湿潤状態にした物。乾燥したり加熱すると固く
なるので、複雑な形状を作る時に良い。スランピング等にも使う。
「ファイバーペーパー」‥紙状にした物。スランピング等にも使う。
「ファイバーキャスト」‥柔らかく粘土のようなペースト状の不定形耐火物。へこみ等の修理や複雑な
形状を作る時に使う。よく練り押し込むように塗り込む。従来は炉の内張りに使
用することが多かったが1年程で塗り替える程、耐久性がないので、最近ではこ
の方法はとられていない。以前はキャスタブル耐火物の性能が良くなかったと云
うより、施工法が悪く密度が粗かった?ので、こういう方法が採られた。
「FF接着材」 ‥セラミックファイバー専用接着材。効果は余り無い。
「FFカートリッジ」‥ボード類の隙間を埋める等に使う。
「紡織製品」 ‥セラミックやガラスファイバーで織ったクロス類やヒモ等。
☆ガス・バーナーの選定
「(NA社)ノースアメリカン・テンペストバーナー」‥
4442−1 〜 32,000Kcal、 グロリーホール用
4442−2 〜 56,000Kcal、 小型炉用
4442−3 〜 83,000Kcal、 中型炉用
4442−4 〜 136,000Kcal、大型炉用
ガラス熔解炉用に最も多く使われているバーナーで、耐火タイル内でエアーとガ
スが混合され、燃焼が安定している。他の多くのバーナーと比べ、ターンダウン
比が大きくとれるので、効率が良い。
ガラス熔解炉は、原料熔解時に高温を維持する為に最大燃焼し、直後に種シメ
の為、急激に温度を下降させる必要があります。
プロコン制御はもちろん、自動点火、安全装置も組み込まれたフルシステムにな
っている。全体の部品や配管などが大掛かりになり、価格も高いが、機能が細か
い分、信頼性は高い。ほとんど現在では、プロコン+インバ−ター+レギュレータ
ーとの組み合わせで自動燃焼制御をしている。
炎はシャープで高速なので、炉内に均一に火が回る。燃焼音はとても静かです。
「正英製作所・SP型」‥
SP-100 〜 100,000Kcal,
SP-200 〜 200,000Kcal,
パッケージ型なので、場所もとらず複雑な配管工事やバルブ操作もいらないので、
最近人気がある。ターンダウン比も大きく、フルシステムになっている。
SP−100は100,000Kcalもあるのでテンペストバーナーよりパワーはあるけ
ど燃費が気になるかも。大型炉向き。
炎はモアーッとしている。燃焼音もややする。
「正英製作所・SR型」‥
SR-40 〜 40,000Kcal,
SR-100 〜 100,000Kcal,
従来はグロリーホール用に使われていたが、プロコン装備が可能になったのと、
比較的、低価格なので、熔解炉用としても使用されている。SP型同様、パッケ
ージ型で、燃焼制御は、プロコン+コントロールモーターでしている。バーナーヘ
ッドが上記2機と違い埋め込み式でないので、移動が可能。二次空気導入が必
要なので、その為燃焼音はうるさい。安全装置の炎探知がフレームロッド式なの
が、やや難。
「正英製作所・FBX型」‥
FBX-25 〜 28,000Kcal,
FBX-50 〜 50,000Kcal,
SR型同様に、パッケージ型ですが、更にコンパクトで、100V仕様であるのが
ポイント。基本型はプログラム制御はできない(特注すれば可能)。その分更に
安価である。グロリーホール用として主に使われている。
「ハニカム・バーナー」‥
グロリーホール用に開発されたバーナー。多孔式バーナーになっているので、広
い範囲に炎がでる。これにブロワーを組み合わせて手動で着火する。エアーとの
バランスが悪いとバックファイャーすることがあるので注意!
スウェーデンのエッセムス社と日本ガスエンジニアリング社から発売されている。
「ブンゼンバーナー」‥
ガスの噴出圧を利用して空気を吸引するベンチュリーレギュレーターとブロワー
より空気を送り混合させるベンチュリーミキサーとがある。構造がシンプルで安価
であるが、失火もしやすくバーナーヘッドも耐久性があまりないので、長期使用
性がない。主にグローリーホールやガレージ用、あるいは廃熱式徐冷炉の補助
加熱用として使用されている。
☆燃焼の仕組み
(ガスの場合) ‥ 基本はガスと空気をほどよく混合して燃焼させる仕組みです。
混合させる方式は、前述したバーナーの種類のようにいろいろあります。
ガスと空気を混合させる時、その割合(比率)によって炎の状態が変わります。
空気が多い時 ‥酸化炎;ブルーの鋭い炎〜失火しやすく温度が上がりにくい。
空気が少ない時 ‥還元炎;赤くてメラメラした柔らかい炎。やや還元気味の方
が温度が上がりやすい。
色ガラスは変色する場合があったり脈理が出たりする。
このような状態を見ながら適正な比率でバランスをとるのがポイントです。
基本的な調整法は、最大燃焼と最小燃焼を繰り返し、温度の上がり具合や炎の
色を見て調整します。
データーがある場合、計算値を元にしますが、炉圧などや火入れ時や季節変動
などの影響もあるので、手動による微調整は経験を積みながら、折りをみてやり
ましょう。
メーカーによる自動燃焼システムは高価な分優れていますが、そうでない場合は
知識と経験が必要です。
(灯油の場合) ‥ 灯油や重油など液体燃料は空気と混合させて、霧吹きの原理で霧状にした状態
にして着火させて燃焼します。
従って、炎も還元炎に近いので、オープンポット式には適しません。自動制御も難
しいです。火入れ時などは、ターンダウン比がとれないので、ブンゼンバーナーな
どで、ある程度まで昇温させてから、メインバーナーに着火するケースが多く苦労
します。不完全燃焼も多く、ほとんどの工房はススだらけですし、火事になった所
もありますので注意が必要です。単価がガスより安いので、維持費が少なくてす
むのが最大の魅力なのですが、最近は値上がり傾向にあるので、その魅力も薄
れてきてます。機器の基本がローテクなので操作経験の積み重ねや習熟がいり
ます。
☆ガスの種類と特徴
(1)都市ガス(天然ガス)の特徴‥
カロリー11,000Kcal/Nm3(LNG)、一般家庭用4,500Kcal
埋設されたガス管からの直接配管なので、ボンベ置き場が必要なく都市部では
周辺住民に危険性も不安感も与えなくてすみます。
以前はプロパンガスより高価だったのですが規制緩和により、その差はほとんど
なくなりました。配管工事代は実費。
(2)プロパンガス‥
カロリー12,100Kcal/Kg(23,700Kcal/Nm3)
都市ガス供給のない所で使用します。配管工事代がサービス工事なので自己
負担がないのがメリットです。
室内設置は法律で禁止されていますのでボンベ置き場に設置します。
50Kgボンベ1本で、0.54〜0.81m3/h=27m3しか発生しないので複数
本を並べ、集合管にて量を調整します。もちろん、周囲温度、残量によって発生
量は変わります。
ブタンガスも同じですが、ボンベを同時に大量に保管設置するので周辺住民に
不安感を与えます。ガスボンベは、それ自体は爆発しません。ボンベの栓の部
分に鉛で栓がされていて、熱が加わると熔けてガスが噴出するように出来てい
て、爆発するのを防止している構造になっています。
従って、見聞きする一般のガス爆発は、もれたガスが室内にたまって、それが
爆発している訳です。しかし、この固定観念や誤解を解くのは大変なことです。
(3)ブタンガス ‥
カロリー11,850Kcal/Kg(30,700Kcal/Nm3)
基本的な内容はプロパンと相違はない。但しやや比重があるので、冬季に寒冷
地では、発生量にやや難がある。この対策としてペーパーライザーという加温装
置を使う。価格はプロパンより幾分安い。
☆ガスバーナー燃焼システムの用語
(ウルトラビジョン)‥炎からでる紫外線を感知する光電管。炎を検知する安全装置。熱に弱いので冷
却する。
(フレームロッド) ‥カンタル線の先端部分を炎にあてて発生する電熱を感知させる安全装置。表面
が酸化するので掃除が必要。
(点火プラグ) ‥車と同じ仕組み。点火トランスからの高圧電流をスパークさせ点火させる。
(プロコン) ‥昇温を自動で制御する信号を出すプログラムコントローラー(温度調節器)の略。
熔解は複雑な昇温パターンが必要で時間もかかります。種シメまで手動でコント
ロールしていては寝る時間が無くなります。
価格もかっての半額以下に安くなり表示だけの温度調節器と大差なくなったので
今では必須かつ標準装備です。
(ブロワー) ‥ガスの燃焼効率を上げる送風機。
(電磁弁) ‥通電中のみ開いてる弁。停電などに作動してガス等の供給を止める安全装置。
(フローメーター) ‥ガスの流量を計る。
(レシオレギュレーター)‥ガスと空気の流量を比例させる弁。間に膜のような仕切りが付いていて、
空気量が増えるとそれに比例してガス量も増える構造になっている。
(マノメーター) ‥空気の流量を計る。
(熱電対) ‥温度を測る棒状のセンサー。1000℃以下はKタイプ、1000℃以上はRタイ
プを使用する。Rタイプの中には、高価な白金が使われているので破損しても
捨てないでメーカーに修理に出す事。
(コントロールモーター)‥ガスや空気の流量を調整する弁を開閉させるモーター。微妙に比例調整
はできない。
(インバーター) ‥プロコンからの信号を受けてブロワーの送風空気量を変動させるモーター回
転量コントローラー。レシオレギュレーターと連動させて使う。回転量調整により
ブロワーの負担も軽減し電気代の節約省エネにもなる。
☆ガス燃焼式のガラス熔解炉 「設計の基礎」
一般的に、
@既存炉の詳細観察・測定値・計算値を参考にする。
A文献、その他の設計を基礎にする。
B理論的、類推的に行う。
以上の3とうりが考えられますが、@が最も安全で重要です。
Aは殆ど成功例しか述べられていなく、キーポイントになる部分が欠落している事が多く、Bは、理
屈では正しいのですが、様々な要因、例えば炉材の蓄熱、開口部からの熱逃げ、燃焼ガスが排出
熱として持ち出す熱量、断熱材の劣化、その外、煙道や煙突の位置や形状、設置法などを考え合
わせると必ずしも計算どうりにはいきません。
しかしながら、やっておくことにこした事はないので一般的な断熱計算(伝熱計算)の仕方を説明し
ます。
《断熱計算(伝熱計算)式》
@使用する炉材をカタログを参照に、その厚さ、熱伝導率、最高使用温度をだします。
(例)内側から外側へ4層構造とした場合。
(厚さ) (熱伝導率) (最高使用温度)
t1; キャスタブルCA16 0.075 0.88 1650℃
t2; ブランケット#1400 0.05 0.17 1400℃
t3; スーパーテンプボード 0.05 0.04 1000℃
t4; スーパーシリカボード 0.05 0.05 1000℃
Aこれらのデーターを計算式で計算します。
まず、必要となる定数Rを出します。 (R=各層の厚さ ÷ 熱伝導率 + 10分の1
0.0075 + 0.05 + 0.05 + 0.05 + 1
0.88 0.17 0.04 0.05 10
=0.085 + 0.29 + 1.25 + 1 + 0.1 =2.725
B一番外側の境界面の温度を出します。
最高使用温度を1400℃、外気温を20℃とします。
(1400 - 20 ) 1
t4 = 20 + 2.725 × 10 ≒ 70℃ ‥‥ 一番外側の境界面の温度
《小型ガラス熔解炉の制作・実技》
オープンポット式小型ガラス熔解炉(「ガラス熔解炉の種類」の項参照)を制作します。
基本構造‥炉本体と燃焼装置で構成します。
炉本体は内側をキャスタブルで、その外側をセラミックファイバー系断熱材を使用します。
燃焼装置は、パッケージ型を使用します。
@設計図を基に、金枠(ケーシング)を作ります‥電気炉制作と同じです。
A炉床になる耐火断熱レンガを下からC1→B5→SK36の順で3〜4段積みます。
炉床直積みの例がよくありますが、洪水などで浸水の場合「水蒸気爆発」の危険があるので、
鉄製の土台を敷くなどの対策が必要です。
B内型を発泡スチロールボード等で作り、キャスタブルの骨格部の厚み分を残し、外型を合板等で
作ります。
内圧で外型が壊れないように、角材等でしっかり補強します。その型枠の中に耐火キャスタブル
を水と練ってうちます。
手順は前述した「耐火キャスターの施工法」によります。24時間後、型をはずします。
C断熱材を面取りし、切断します。
Dキャスタブルでいこんだ型の周りをブランケット等の断熱材で囲み取り付けます。細部の不具合
も直します。
E扉部分を作り、取り付けます。
F燃焼装置を取り付けます。
Gこれで完成です。坩堝を入れないで、とりあえず試運転し水気をなくします。
☆その他の備品の製作
《グローリーホール》
東日本では「ダルマ」、西日本では「テッポウ」とも云う。制作効率を考えると必需品と云えますが、
オープンポット式の熔解炉で兼用できるので個人工房で持っているところは多くない。
クローズンポット式のところは殆ど持っています。
燃費は専用のハニカムバーナーの小〜中位タイプで2〜4Nm3/H前後(都市ガス・当社値)です。
(設計について)
@使用状況にあわせて大きさ(内径・奥行き)を決める。
A使用するバーナーの選定‥グローリーホールの形状や扉の数・つけ方・内張り断熱材の種類・厚
さにより、必要なカロリー数を算出し、それに合わせたバーナーを選びます。
Bスタイルの選定‥設置する場所や、使用する人数を考えて決めます。
C扉のスタイル‥観音開き、エアーシリンダー式などいろいろあります。
Dスタンドのスタイル‥スタンドの形やヨークの高さなど、使い易さを考えて決めてください。
(作り方)
ブランケット、レンガ、高温用ボードなど使用する材料により異なります。
ブランケットの場合、
@ブランケットを折りたたんで、ヒモで固くしばる。
Aドラム状の金枠の内側に取り付けていく。天井部分は落下しやすいのでアールをつけ、スタッド
ピンなどを取り付けておく。
B床部分はキャスタブルで作り、内側にファイバーキャストを塗り込むのも良い。
C扉部分はキャスタブル、ファイバーキャスト、高温用ボードなどで作る。
密封性をよくすれば燃費がよくなります。
Dバーナーを取り付け、一度焼きしめをします。
《ベンチ》
「ブロー台」ともいう。工場などで使われている和式のものから、ヴェネチアスタイルまで、形・大きさ
・材質はいろいろあります。
(設計について)
@材質は、鉄フレームが一般的だが、木製も柔らかくて楽です。
A大物制作が多い場合は、丈夫に骨太に重く作ってください。
Bサイズは自由ですが、高さは作業状況に合わせます。立ったり坐ったりするのが多い場合は高
め、プロダクション制作で坐りっぱなしが多い場合は低めが楽です。
C道具を置くスペースは、広い方が良いので別に作ってもよい。
D熱よけと危険防止に遮熱板もあった方がよい。
《マーバー》
ステンレス製、鉄製、鋳鉄製、カーボン製、大理石製とかいろいろある。
一般的には表面はあまりすべりやすいとつかいづらいが、その逆も不便です。
鋳鉄製は適当な抵抗感があり使い易い。
カーボン製は、熔けているガラスの塊をたらしても焼きついたりしなく、反りかえりも生じないので小
さくてもあった方が良いです。
※ 中古カーボンマーバーあります。
◎ガラス熔解の基礎知識
一日単位で点火・昇温・消火を繰り返すやり方もありますが、コストや管理上の理由による例外
的な方法ですので、ここでは理論的な一般的な説明をします。
《坩堝》
「坩堝」‥
坩堝の材質は、シャモットに蝋石(ろうせき)・木節(きぶし)粘土・蛙目(がいらめ)粘土等
の混合物です。
これらの混合物を日陰の貯蔵庫に入れて熟成して使用する(「ねかし」と云う)。
かっては、シャモット分をガラス等を除去した使用済みの坩堝を粉砕した「むき」と云うもの
を使っていた。
一般に夏物は良くないと云われる。最近は坩堝職人が高齢化し坩堝工場も廃業や縮小
傾向にあります。
坩堝は一個一個手作りなので形や大きさは自由に注文できます。納期は2ヶ月程必要な
ので早めに注文しときましょう。
※<提言>坩堝工場が数少なくなってきた背景には、この自由な注文の仕方にも問題があ
ります。それぞれのサイズにはさほど変わりがないのに、皆特注します。しかし在庫を
消化しないうちにサイズ変更するケースが多いです。この結果、工場は不良在庫を沢山
かかえます。これが経営を圧迫します。サイズの規格化を図るべきと考えます。
「坩堝の種類」‥オープン式@、クローズン式AB
@オープンポット‥個人工房ではこの形が最も多い。バケツ形、すり鉢形などスタイルや
大きさはいろいろです。
高さ(深さ)は深すぎると巻きにくく熔けにくくなります。35〜40cmがベターでしょう。
一般的に3〜4ヶ月位の寿命です。(投入回数が少なければもっと長持ちします。)
ジルコニア製坩堝は高価ですが耐久性があり長持ちします。
Aネコツボ‥猫が座っているような形からこの名の由来がある。連帯窯に多く使われる。
直火があたらないので熱くなく巻き易い。約2〜3ヶ月位の寿命です。胴体の幅を狭く
した色ツボ用のピストル坩堝というのもあります。
Bジャパンツボ‥蛸壺のカメのような形をした坩堝で主に色ガラス熔解用に使われてい
るが、灯油窯の工房ではこれを使っているケースが多い。ネコツボ同様に直火があた
らないので熱くなく巻き易い。肉厚が薄いので2ヶ月位の寿命です。容量表示の1斤
は約660g。
「坩堝の侵食」‥
坩堝は熔解の繰り返しでガラスによって侵食されていきます。侵食された所は縦ミゾが
でき少しづつえぐられて深くなっていきます。ミゾが貫通しますとそこからガラスが流れ出
します。そうなると炉は重大なダメージを受けます。修復も大変な事になりますので、その
前に交換します。
<侵食のパターン>
縦ミゾ‥ガラスの侵食による。
スポット‥材質(成分)によるクレーター状のえぐれ。手び練り製作時の脱泡不全もある。
メルトダウン‥金属の塊が投入されると、それが坩堝の底に到達して底を侵食していき
貫通穴を開けてしまいます。色ガラスを作るために金属酸化物を混ぜる場合は粉末状
の物を使って下さい。チェルノブイリ原発事故を想起するとゾーッとします。

《坩堝交換(ツボ換え)》
坩堝が侵食により薄くなってきたら、侵食の度合いや耐久日数を目安に割れる前に「火をお
とし」交換します。ガラスが熔けていて仕事ができ、生活ができるので、交換のタイミングは
大切です。ガス式オープンポット熔解炉の場合の手順を紹介します。
@「火おとし」…まず、坩堝に残ったガラスを全てかい出します。炉床にたまったガラスも
抜きます。この作業が済んだらバーナーの運転を停止します。(とても開放された気
分になります。それだけ普段の緊張・ストレスは半端じゃないです。)ガスコックやウ
ルトラヴィジョン等の安全装置も閉めます。
後は自然に冷まします。使用期間がごく短く、坩堝を再利用する場合は、かい出し
後、毎時10℃位の割合でプログラムで温度制御を設定して、ゆっくり冷まして下さ
い。それでも歪が残ることもありますので再使用時は注意して下さい。
炉内が室温近く位になったら坩堝を取出します。この時には炉内の傷んでいる所
を修理しておきます。
A「坩堝交換」…新しい坩堝を入れます。坩堝の底と固定用のレンガの間にシャモット
粒を蒔くと交換の時、剥離しやすくなります。
B「火入れ」…坩堝交換が済んだら又バーナーを点火して加熱昇温していきます。昇温
のパターンは原料の種類等によってもいろいろですが、初めて炉を使う時は、炉材の
焼き締めをしなければならないので、理想的には、
150℃までは2日位〜湿気抜き→300℃まではゆっくり、毎時5℃位UP〜耐火物
中のクリストバライトが異常膨張する→570℃あたりまでは毎時10℃位UPし、ここ
で少しキープ〜耐火物中の石英が異常膨張する→870℃あたりまでは毎時20℃
位UP〜耐火物中の石英がトリジマイトに転移する。→それ以上は毎時25〜50℃
位UPします。 2回目以降は、上記を基本にしますが、実際、多くの工房では600
℃位までは10〜50℃、それ以上は25〜50℃位にして、4日前後で昇温している
ケースが多いです。
昇温はゆっくりの方が炉の寿命が長くなるとは云われてはいますが、比較データー
はありません。
C「原料投入」…途中1100〜1200℃で「ツボ洗い」をします。これは、この温度になっ
たらガラスのカレットを少量投入して熔かしておき、これを巻きとって、坩堝の内側表
面に塗りつけます。こうして坩堝の表面に保護膜をつくります。
原料の種類に合わせた熔解温度で3〜4時間位キープしてから、最初の原料を投
入します。最初は空っぽなので、何回かに分けて投入し熔解します。半分位までは
原料2対カレット1位の割合で交互に投入し、2日位に分けて満杯にします。
《ガラスの熔解》
ガラスの種類により熔解温度も作業温度も違います。またその温度も原料の種類(ソーダガ
ラスはクリスタルガラスよりも高い)によるばかりでなく、熱電対の設置位置や、坩堝の種類
(オープン、クローズン)、坩堝の配置(単独窯、連帯窯)等によって大きく違いますので、誤
解や混乱を避けるため表記しません。温度表記には実測温度と雰囲気温度があり、一般的
には区別無しで表記されており情報混乱を招いています。他にも、炉の大きさ、バーナーの
能力、混合比、投入量により一概には説明できません。なによりも殆ど各個人の自由裁量
でされておるので基準はありません。下記の例は私の場合です。築炉と同じ位経験が必要
な難しい作業です。
1、1回目の投入…作業温度で投入。直後炉内温度は100℃位ダウンする。熔解温度
位に上げてから投入という意見もあるが時間のリスクからほとんど無理。寝る時間が
無くなってしまう。原料から有機性ガスが発生するので煮上蓋をする。
2、2回目の投入…1回目の投入から2〜3時間後か熔解温度位に上がって「山落ち」し
「ガス抜け」(量が約半分位になる)が終わったら投入する。
3、3回目の投入…同じようになったら投入。使用する必要量になるまで繰り返し投入す
る。但し、坩堝の大きさなど状況による。
4、熔解温度に達したら2〜3時間キープする…理論的には急速に短時間で熔解温度に
上げて2〜3時間キープするように云われているが、知る限りでは最後の投入から熔
解温度に達するまでに5〜6時間はかかっているケースが多いので、それだけでも7
〜9時間かかっていることになります。1回目の投入から「種シメ」の時間を通してみ
ると、ゆうに一晩以上かかることになります。従って多くのケースでは熔解温度を低
めにするとかカレットを普段からストックしておいて調合割合を多くして熔解時間を短く
したりしています。こだわりを持った個人工房では1日おきに投入して生地をねかして
いる例もあります。
5、種シメ…泡抜きとも云う。熔解した直後に急速に温度を下げると、熔解したガラスの
中の泡が表面に上昇し自然に消える。一般的には、巻口の蓋を開け30分〜1時間
程で強制的に温度を下げるのですが、時間的に早朝明け方にかかったりして寝てら
れないので、手動制御の場合は最も辛い作業です。プロコン装備の自動熔解システ
ムの場合はダミープログラムを入力しておいて強制急冷させます。
イニシアルコストは多少かかりますが、自動制御をお勧めするのは日常的に熔解
管理が楽にできるからです。手動制御によって睡眠不足とストレスや時間に追われ
るよりは、これらによって得た時間を創作に活かしたほうが結果的にお得です。
種シメから作業開始までの時間があまりなかったりすると、まだ泡が表面に残って
いるので、巻き取ったり「水かけ」をしたりして無くします。
※泡切れが悪い時の解消法
@表面にスポンジ状の泡が残っている場合は、温度・時間を変更したり、原料・
カレットの混合比を変更する。
A「水かけ」をする。ブローパイプに水をいれ熔けているガラスの表面にかける。
B調合原料に消泡剤(アンチモン、砒素等)や融剤を余分に加える。膨張率が変
わるので注意して下さい。消泡剤は劇薬ですから取り扱い注意です。
C大根をポンテ棹に刺して熔けたガラスの中に入れて泡だたせ、循環を強制して
泡をぬかす(大根バブリング方と云う)。
6、スキミ…種シメが終わったら作業温度に上げます。
この時にも残った泡を取り除きます。また、作業温度以上に上げると再沸騰現象が
おきて泡がでてきますので注意が必要です。
《ガラス生地の管理》
ガラスの品質管理は、熔解の仕方でも左右されますし、様々な要因がからみ、とても難しい
ものがあります。ましてや共同で使用する場合には注意が必要です。一般的によくあるのは
次のようなものです。
@泡 …前述したケース以外に、巻き取り時の生地落ちや、重曹等の薬品によって発生
することもある。
Aブツ…炉材の劣化や投入時・作業時の過程で混入することが多い。
B脈理…坩堝・浮き輪等の耐火物の侵食によって発生する事が多い。3〜4日ほど投入
をせず低温でキープしておいたりしても発生する。また、燃焼が還元炎の時にも
おきたりする。古くなって固くなった調合原料でも成分が不均一になってしまい
原因になることがある。
C青み…パイプやポンテのサオ元からでる鉄分がカレットとして混入して出る。透明感に
こだわる方は除去が大変な仕事になります。サオ元は大量にでますので産廃処
理・環境破壊の事も併せて考えなければなりません。
◎徐冷について
ガラスは高温の状態から急激に冷やしてしまうと割れてしまいます。
これは、ガラスの表面が冷めて収縮しようとしているのに対し、内部は熱伝導性が低いので、
遅れて冷めようとするので、その為、表面近くに張力が発生し、この張力がガラス自体の持っ
ている抗張強度より大きくなった時に破裂します。この応力はある温度的不均一がある時だ
け発生します。これを「歪み」と云います。
この「歪み」が発生する温度の不均一を少なくするように操作するのが「徐冷」です。
一般的なガラスでは、転移点から20℃高い温度が最適な徐歪点と云われています。その
温度で一定時間保持し、その少し下まで徐々に冷却し、その後比較的早く冷却する操作が
行われています。
この冷却温度は、 軟化温度×2
(最大厚さ)の2乗 で、計算されています。
(例) 三徳工業のA透の場合
軟化温度671℃、厚さ5cmの場合 671℃×2
52 = 53℃/h
肉厚の作品を日常的に製作する場合は正確な徐冷が必要となりますので、プロコンを設備
した電熱式徐冷が望ましいです。
(参考;三徳工業のA透のデーター … 平均膨張係数98×10ー7℃、転移点484℃、
屈伏点543℃、軟化点671℃、徐冷点おおよそ492℃、歪点おおよそ442℃)
◎ガラスの原料調合
一般的にはガラス工場も含めて、原料調合メーカーのものを使います。国内では三徳工業が
代表的でA透などが工芸用バッチとして最も多く使われています。最近ではリサイクルセンタ
ーに併設されたガラス工房もできてきて、リサイクル瓶なども使われています。(ちなみに弊
社では千葉県浦安市リサイクルプラザ、富山県河北リサイクルセンターなどに熔解炉等を納
入しております。)
また、陶芸のように産地特有のガラスを作りだしたいという為に自分で土や砂をブレンドし
たり、自分で調合している作家・工房もみうけられます。理想としては、自分の作りたい物や
作業スピードに合わせ最も自分に合った原料を使うべきだと思います。工場のように大量に
作りたい時に、いつまでも柔らかく冷めないガラスでは効率があがりません。
自分で調合するには専門知識を必要とします。どういう組成でどういう物質で構成してどの
位の量で混ぜれば良いのか結構難しく、また作業も発生する粉塵による人体への危害や環
境への影響を考えるとあまり勧められませんが、それ自体大変です。コスト高でもあります。
特に致死量を伴う劇薬や有毒物質を多用しますので保管は厳重にしなければなりません。
実践なさりたい方は、長谷川保和著「魅惑のガラスノート」を参考にして下さい。(故・長谷川
先生には沢山お世話になりました。哀悼の意を表します。)
◎色ガラスの発色法
原則として酸化金属物を原料に混ぜて発色させるが、炎の状態(酸化・還元)や温度によって
変化します。塩化金による「金赤」は例外で、とても発色が難しいです。
(基本的な酸化金属物と発色)
「酸化コバルト」 … 濃い青(紺色)〜少量で発色
「酸化第二銅」 … ライトブルー(空色)
「酸化クロム」 … 緑〜熔けにくいので数回熔かすと良い
「酸化ニッケル」 … 濃い紫
「二酸化マンガン」… 青紫
「電解マンガン」 … 赤紫
「酸化セリウム;1+酸化チタン;2」 … 黄色
「酸化鉄」 … うすい青緑(いわゆる瓶色)
「酸化エルビウム」 … ピンク〜値段が高い。濃くすると膨張率が変わる。
「重クロム酸カリ」 … 黒っぽい緑
《 後 記 》
私がガラスに興味を持ち、のめりこんでいった頃は、ガラスに関する情報は皆無に等しく、今
のようにインターネットはおろかパソコンも普及していない時代でしたから調査も困難でした。
いろいろ試行錯誤をし失敗を重ねながらも、それを経験として蓄積してきました。
20数年前の黎明期の頃は数少ない同好同士で知恵を出し合い情報を交換し合い皆なで
仲良く共存していました。その頃の仲間の善意によってノウハウを隠す事無くオープンにした
事が、現在の吹きガラス工房の興隆に繋がっていると自負しています。
この資料もその頃の原点に帰り、語りつがれてバラバラになった情報を集約し共有してもら
おうという思いで編纂しました。
理想は、ガラスに限らず、このような共有共存意識で繋がった仲間達との熱い連帯です。
スタジオグラスムーヴメントの原点もここにあります。
しかし、インターネット社会の裏面性もやはり現実として存在しています。かって私のホーム
ページのコラムに「ガラス工房の運営は赤字で苦しい」と書いたら、たちまち「倒産する」噂が
広がり、タイに工房を作った時は「スマトラ沖津波で死んだ」とまで騒がれました≪(’0’)≫。
それだけ皆さんが私に関心を寄せてくれている証拠だと良い方向に解釈しておりますが…。
最近では語意も理解しようとせずに、一字一句にクレームをつけてくる人もいてブルーにな
ることもあります。所詮、不特定多数に発信している私的情報なのですから、曖昧であったり
誤謬もある事をご理解いただきたいと思います。
進む地球温暖化、それに伴うさまざまな規制強化、50年後とも云われるエネルギー資源の
枯渇…ガラス屋の仕事が社会に及ぼす悪影響(炉からの高温排気→温暖化、大量のガラス
ゴミの発生・廃棄→環境破壊、エネルギー資源の大量消費→資源枯渇)を加害者側として
負的な自己責任と認識して微力ながらも最小に抑える努力をしなければという葛藤の中で、
私達ガラス工房は将来に向け歩んでいかなければなりません。悲しいかな、これさえ「偽善」
と批判する方がいます。ガラスの作品は人の心を和ますことはできても命を救うことはできま
せん。私達はいかなる弁明も許される特権的な立場にいるのではなく社会の一構成員であ
る自覚を忘れてはいけません。
市場原理の浸透とグローバル化が進行する中、格差が広がり人間性の劣化も進む現代社
会の中にあって、私達ガラス屋も例外ではなく、同じ波間に漂っています。工房が激増し競
争も熾烈になってきた昨今はモラルハザードな動きもあります。
透明な素材を扱うガラス屋であるからこそ、心も透明であってほしいと願うばかりです。
この一筆が少しでも役に立てば幸いです。 Present by Riki
(07/12/31完。随時加除訂正します。最後までお読み頂きありがとうございました。 ヾ(*゜-゜*) )

温暖化への警告!
(モーニング娘文化祭2005in横浜)